ただ、同サミット会場では10月のリリースに先駆けて、タッチインターフェイスを搭載したMeeGo搭載のタブレット(Atomベース)が公開された。講演に立ったソフトウェアグループのバイスプレジデントであるDoug Fisher氏は、タブレットデバイスを手に操作性を解説。インストールされているアプリケーションがひと目で分かる「Simple View」や、写真や動画、SNSまでパネル形式で一覧表示できる「Panel View」など、ネットブックに搭載されているUIとは異なるデザインを披露した。一見するとアップルのiPadそっくりで、写真の拡大縮小もタッチ操作で可能。端末だけを見ると今さら感が強く残る。
しかし、当然のことながらインテルの目的はデバイスを作ることではなく、Atomベースのデバイスを普及させること、それを取り巻くエコシステムを拡大させることにある。iPadライクなタブレットは、MeeGoを使うことで魅力的なインターフェイスを持つデバイスを開発できるというひとつのデモンストレーションに過ぎない。「iPad、iPodのAppストアモデルは垂直型のマーケットセグメントであるが、(我々の)MeeGoはネットブックやタブレットのみならず、携帯端末、(Smart)TV、カーナビゲーションなどにも横断して搭載されていく」とする。
「MeeGoは豊富なAPIセットを持っている。例えばネットブック用にアプリケーションを開発したら、コアコードを変更する必要はない。MeeGoの一貫したフレームワーク、APIが、容易にクロスセグメントで動作するアプリ開発を助けてくれるのだ」。このように話すように、同様のアプリケーションが、異なるデバイス(タブレット、カーナビ、ネットブック)で動作する点も強調されていた。
今回のCOMPUTEXで印象的なのは、インテルはAtom、そしてそれを取り巻くエコシステムとして“ソフトウェア”を強調していた点だ。同社は開発者支援の「Atom Developer Program」を立ち上げ、ここで開発したアプリをアプリストア「Intel AppUp Center」で配布できるような仕組みを推し進めていく。
「Intel AppUp Center」のサポートは複数社が名乗りを上げているが、今回スポットライトが当たったのはASUSTeKだった。同社は「Intel AppUp Center」からのダウンロードを含めた7サービスを「ASUS Accrss」としてクラウドで提供していく。そのなかには、オンラインストレージサービス、セキュリティー、ゲームパークなども含まれる。「Intel AppUp Center」へは、ネットブックから容易にアクセスできる形になるだろう。
これらASUSTeKに代表されるような提供形態がクロスプラットフォームで展開されていくことを狙っている。ただ、これらの展開はすでにSamsungもソフトウェアプラットフォーム「bada」でいち早く提供、アプリ配信の仕組みとしては「Samsung Apps」を展開している。同社はスペインで開催された「Mobile World Congress」で発表のスマートフォン「Samsung Wave」(型番:S8500)に「bada」を搭載した。