富士通は20日、クラウド時代に向けた新しいネットワークサービスとして、「FENICS II ユニバーサルコネクト」を発表した。同社は、昨年より内外のソリューションベンダーとの協業や買収、3月に新しいIAサーバービジネスについて新価格体系やプロダクツライン、17日にはシスコとのユニファイドコミュニケーション分野での協業など、戦略的な発表が相次いでいる。今回の「FENICS II ユニバーサルコネクト」は、クラウドコンピューティングによって、変革するITワーキングスタイルに対応するための、ネットワークサービス事業に関する事業戦略の発表だが、具体的にはどのようなサービスなのだろうか。
シングルサインオンもコンテンツの自動変換も、実際には導入企業のシステムによって調整事項や作り込みは必要だが、かなりの部分で効率化が見込めるそうだ。たとえば、100ID程度のシステムを自前でVPNも含めて構築した場合と、FENICS II ユニバーサルコネクトを利用した場合では、初期費用で25%、月額で40%のコストダウンが可能という試算もあるという(富士通調べ)。
FENICS II ユニバーサルコネクトを導入した企業のIT部門から見た場合のメリットは、既存のネットワーク資産を生かしてリモート接続環境を構築できる、ID統合と管理の可視化によって、コンプライアンス要請への対応、アクセス制御の適用、端末ログを含めた詳細ログによる稼働率の把握が可能となることがあげられる。端末やネットワークの詳細稼働率がわかると、リソース配分やユーザー管理に役立つ情報となるほか、システム増強の最適化、故障やトラブルの事前予測なども可能になるという。
また、FENICS II ユニバーサルコネクトのターゲットは、従来のFENICS IIの導入実績が高い大企業などが当面のメインになるだろうとしながらも、自社システム構築よりSaaS利用を考えているSMB企業にも積極的にリーチさせていきたいと述べた。そして、ユニバーサルコネクトのサービスを、さらにエンドユーザーに提供するようなB to B to Cも視野に入っているとのことだ。
《中尾真二》