次に、日本映画・ある視点部門。特別賞は「大阪ハムレット」に出演の岸部一徳。作品賞には、今年9月19日に亡くなった市川準監督の「buy a suit」が選ばれた。初心に戻りたいと監督自らHDカムを持ち、撮影、編集を手がけたというプライベートフィルムが本作。「今回の受賞で、この映画に関わったすべての方にお礼ができてホッとしていると思います」と登壇した故市川監督夫人の幸子さん。関口裕子審査委員長は、「自由な語り口で、次世代の作家に向けて強い刺激を与えていただいた。議論を呼んだラストシーンについては、市川さんのある種の怒りとメッセージとして受け取りました」と審査を振り返り、「青い鳥」もまた最後まで俎上に載っていたことをつけ加えた。
新設のTOYOTA Earth Grand Prixは、エコロジー、地球への関わり方、自然と人間の共生などをテーマに持つ優秀な作品に与えられる。受賞したのはスペイン映画「フェデリコ親父とサクラの木」。地球儀型のトロフィーを贈られたホセ・アントニオ・キロス監督は「アリガトウゴザイマス。トウキョウガダイスキデス!」と日本語でスピーチを行った。