NECは19日、タイ国内で20以上の病院を運営するタイ皇太子病院基金「Crown Prince Hospital Foundation」より、タイ北部のチェーンコーンにある病院向けのWiMAXシステムを受注したことを公表した。 タイでは、ブロードバンド通信インフラの普及は進展しつつあるが、その大部分は首都バンコクに集中しており、それ以外の地域ではWiMAXを活用したワイヤレスブロードバンドインフラへの期待が高まっている。2008年1月に、全国サービスを行う12社の通信事業者にWiMAXの事業トライアル・ライセンスが交付されたほか、限られた地域や用途に限定してWiMAXを活用する動きも出てきている。 今回、NECが受注した病院向けWiMAXもその一例とのことで、同サービスでは、チェーンコーンの病院を拠点に、最大5km離れた周辺診療所3個所の間のワイヤレスブロードバンド通信環境をWiMAXで構築し、従来のアナログ固定電話を中心とした通信手段から新しくテレビ電話やビデオなどを用いた遠隔医療を実現するとのこと。患者は、病院に行かなくても近くの診療所で質の高い診察を受けることが可能となる。 Crown Prince Hospital Foundationでは、傘下の他の病院にもWiMAXの活用を検討しており、NECは今回のチェーンコーンにおける遠隔医療システムを成功させることにより、他の病院にも当社WiMAXシステムの導入を図っていきたいとのこと。 NECはアジアにおいては、2007年より台湾においてWiMAXのトライアルに参加して、同年12月には大同通信よりWiMAXシステムを受注。さらに本年6月には台湾に「WiMAX R&Dセンター」を設立するなど、積極的なグローバル事業展開を推進中だ。