マイクロソフトは、5月16日より東京ビッグサイトにおいで開催されている「ESEC 第10回組み込みシステム開発技術展」で、組み込み機器向けOS「Windows Embedded CE 6.0」に関するプレス向けセミナーを実施した。セミナーにはマイクロソフト モバイル&エンベデットデバイス本部 部長 梅田成二氏が登壇し、組み込み機器向けOSビジネスの状況について説明を行った。梅田氏によるとワールドワイドでの金額ベースは前年対比で約50%増、ユニットの出荷台数ベースも約50%増と好調であることが紹介された。マイクロソフトはサーバ市場、クライアント市場、オフィス市場なども手がけているが、それらの成長率は10〜20%前後に留まっているのに対し、組み込み機器市場向での成長率がずば抜けて高い事に多少の驚きを感じた。
なお、組み込み機器市場での高い成長の牽引役となったのは、最新バージョンのWindows Embedded CE 6.0ではなく、Windows Embedded CE 4.0や5.0など旧バージョンであることのこと。梅田氏はマイクロソフトにとって、今3つ目の波が起きつつあると語った、1つめの波は最初のバージョンであるWindows CEの登場、2つ目の波はOSに合ったBSP(Board Support Package:評価ボードでOSを動作させたり、アプリケーションを開発するためのデバイスドライバ群)や、ソフトウェアなどが整備されていること、そして3つ目の波となるのが、開発者がWindows Embedded CE 6.0を採用し、実際の製品が登場することであるとした。
続いて旧バージョンとWindows Embedded CE 6.0の違いに話が移り、Windows Embedded CE 6.0は成長が著しいデジタル家電やネットワーク家電に合わせて作り直された新しいOSであるということが語られ、「コネクティビティ」「ディベロップメント パワー」「シェアードソース」の3つ強化ポイントについて紹介を行った。コネクティビティの項目では、新たにBluetooth A2DPプロファイルや、WMM、QoS、WMP2といったプロトコル・ミドルウェアがサポートされたことが紹介された。
一般的に新OSが登場し、そのOSが搭載された機器が登場するまでには、かなりの日数を必要とするのだが、梅田氏からはWindows Embedded CE 6.0対応製品として、NECディスプレイソリューションズが欧州市場に投入しているネットワークプロジェクタについて解説が行われた。Windwos Embedded CE 6.0が発表されたのは2006年11月で、ネットワークプロジェクタが発表されたのは2007年2月。この短い期間で製品化できた背景については、マイクロソフトがOSの他に、機器を構成するための汎用的なコンポーネントを提供(ネットワーク家電や、デジタルビデオレコーダなど複数のジャンルにまたがる)したことにより、開発期間を大幅に短縮することに成功できたそうだ。