元祖UNIX関連雑誌といえる「UNIXマガジン」(アスキー)が季刊(+Web化)となり、「C MAGAZINE」(ソフトバンク)、「インターネットマガジン」(インプレス)、「ASAHIパソコン」(朝日新聞)も休刊となるなど、この春は業界にとってありがたくない「休刊ラッシュ」だ。これらが出版業界(とくにIT系)の体質改善や次なる飛躍への収縮期間であってほしいが、現実的には紙、Web、TVのメディアを問わずマスマーケットの縮小の問題が横たわっている。 そんな中、Web2.0というキーワードが脚光を浴びているが、その背景をなす理論に「ロングテール理論」なるものがある。簡単にいえば、通常ビジネスでは有意と見なされない売上の8割を占める少数顧客も長期的な売上貢献度は高いという理論だ(指数関数曲線の漸近部分を長く延びる尾に喩えている)。ネットワーク上では、このロングテールの部分を効果的に集約できるということで注目されているのだが、この原理はなにもECサイトだけのものではない。一般的な商品は点数が増えるほど「ロングテール曲線」を描く。ならば、メディアや販売方法にかかわらずビジネスに生かす方法はないだろうか。 RBB PRESSは、小規模出版によってロングテールをビジネスとして活用している。昨年出版事業から完全撤退したエーアイ出版というIT系書籍、ムックの老舗がある。1980年代後半から1990年台前半くらいまで、「エーアイムック」という200冊以上のシリーズを刊行していた出版社として有名である。この版元の本に「ここが知りたいTCP/IP FAQ」という名著がある。累計で5万部以上売れたヒット商品である。RBB PRESSでは、著者の渡邉郁郎氏の英断もあり、版元消失により宙に浮いたこの本の権利を獲得した。大手出版社では初版数千部では、営業経費や間接部門のコストがまかなえず予算化が不可能でも、RBB PRESSのような小規模な出版社なら採算がとれるということだ。 勝ち組の巨大化や集約は益々進むだろうが、マスをとらずミニに徹する戦略もWeb2.0時代には重要になってくる。