ヒョンビン主演の映画『ハルビン』が、いよいよ7月4日に日本で公開される。
韓国では観客動員数491万人を突破するなど人気を博した『ハルビン』は、『愛の不時着』で社会現象を巻き起こしたヒョンビンが主演を務めていることから、日本でもヒットが期待されている。
しかしヒョンビンが演じる安重根(アン・ジュングン)は、日韓で評価が大きく分かれる歴史上の人物だ。日本統治時代の1909年に、日本の初代内閣総理大臣・伊藤博文を暗殺したことで、日本では「テロリスト」、韓国では「英雄」とされている。

『ハルビン』でも、祖国の独立を目指して闘う者と、それを阻もうとする勢力との熾烈な攻防が描かれているため、一部からは“反日映画”だと批判する声もある。
反日映画が韓国興行1位
韓国では、映画のヒット要素として「反日」や「抗日」という題材がしばしば利用されてきた。ここでは、その是非はひとまず脇に置くとして、こうした“反日映画”が日本でもヒットした例はあるのだろうか。
例えば、2024年10月に日本公開された『破墓/パミョ』がある。
本作は、大金を受け取り謎めいた墓を改葬する風水師や葬儀屋、巫女たちに起こる怪異を描いたホラー作品で、日本の歴史的要素も組み込まれている。依頼者の祖父が親日派で、その遺体と一緒に日本からの勲章が副葬品として納められていたことが呪いや祟りの原因とされる。また、日本の武将の怨霊も登場する。
映画全体が反日をテーマにしているわけではないが、こうした文化的・歴史的な背景が見る人によっては「反日的」と受け取られる可能性があった。
韓国では1191万人を動員する大ヒットとなったが、日本ではそれほど話題にならず、興行成績も振るわなかった。
『映画.com』のレビューには「日本絡みの描写に色々な意味で違和感」「朝鮮半島と日本の暗い歴史の苦さが後半の味わいに影響。韓国での特大ヒットに複雑な思いがする」といった感想も寄せられている。

2016年に日本公開された『暗殺』もまた、強い反日要素を含んだ作品だ。
1933年、中国・杭州に設けられた大韓民国臨時政府が、日本政府要人と親日派を暗殺するために3人のスペシャリストを招集するというストーリーで、あらすじからも伝わるように、反日要素の強い作品だ。
韓国で1270万人以上を動員し、韓国で最も権威ある映画賞のひとつ「青龍映画賞」で最優秀作品を受賞した。
しかし『破墓』同様、日本では韓国での成功が嘘のように話題にならなかった。 『ハルビン』と同じ時代背景を持つ映画として、2004年に日本でも公開された『ロスト・メモリーズ』はどうか。

この作品は、伊藤博文の暗殺が失敗に終わったという仮定をもとにした架空の歴史を描いている。劇中では日本が体制的な“悪”として描かれており、仲村トオルをはじめ、多くの日本人俳優も出演している。
韓国では230万人を動員し、当時としては成功といえる興行成績を残したが、日本では大規模な全国公開はされなかった。
“反日映画”が日本でヒットしない教訓もあったのか、DVD発売だけにとどまった大作もある。朝鮮出兵(慶長の役)を描いた映画『バトル・オーシャン 海上決戦』だ。
本作では、わずか12隻の朝鮮船が330隻の日本船を打ち破るという実話ベースの内容が描かれており、日本兵が無残に殺される描写や、韓国側の英雄視が極端に強調されている点が「いかにも反日的」だった。
韓国では1760万人を動員し、歴代映画の中で圧倒的1位となったが、日本では劇場公開されることなくDVDのみが発売された。しかも、日本版では本来128分の作品が110分に短縮されている。

こうして見ると、日本では“反日映画”が興行的に成功するのは難しいのが現実だ。はたして『ハルビン』は、この流れを変えることができるのだろうか。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
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