韓国で芸能人を脅迫する事件が絶えない。
4月10日、ソウル高等裁判所・第10-1刑事部(ナ)は、元東方神起のジュンスから約8億ウォン(約8000万円)を恐喝したとして、1審で懲役7年の判決を受けた30代女性の控訴審初公判を進行した。
その女性は陳述で、「私によって傷つき、苦しんでいる被害者の方に心から謝罪し、許しを請いたい」と述べ、「二度と被害者に同じような被害を与えることは、命をかけて絶対にないと誓う」と語った。
また、「裁判が終わった後も、被害者の方に一生謝罪し続け、社会に貢献しながら生きていきたい。二度と同じ過ちを繰り返さない」とも付け加えた。
弁護人は「被告人は犯行を認め、深く反省している」とし、1審の量刑を減刑するよう求めた。

この30代女性は、2020年9月から2024年11月までの間に101回にわたりジュンスを脅迫し、約8億ウォン相当の金品を脅し取った疑いが持たれている。A氏は、キム・ジュンスとの会話を違法な目的で録音し、それをSNSに流すと脅迫したとされている。
脅迫された被害者が批判されるケースも
芸能人を脅迫する事件は、定期的に発生している。
例えば、今年2月、ガールズグループApink出身で女優のソン・ナウンが携帯電話をハッキングされ、金銭を脅迫されていたことを明らかにした。
所属事務所YGエンターテインメントは、「ハッキング犯が不法に収集したデータを公開しない条件で金銭を要求した」と伝え、「ソン・ナウンは家族や知人に被害を与えたくないという理由で一度応じたことがある。だがハッキング犯が追加で金銭を要求し、脅迫をしてきている」と説明した。
YGエンターテインメントによると、ソン・ナウンのこの事件は、警察で正式に捜査を進めているという。

同じく2月、歌手のチョ・グォンの所属事務所が「当社は最近、チョ・グォンの個人情報を入手し、金銭を目的に脅迫に利用した事例を情報提供された」と明らかにしたこともある。
俳優のイ・ビョンホンも脅迫を受けたことのある被害者だ。
犯人はガールズグループGLAM(グラム)の元メンバー、ダヒことキム・シウォンだった。彼女は2014年、自宅で友人やイ・ビョンホンと一緒にお酒を飲み、イ・ビョンホンが猥談したシーンを撮影して、その映像の一部を見せ、現金50億ウォン(約5億円)を要求した。
だが、イ・ビョンホンの告訴により恐喝未遂容疑で拘束され、1審で懲役1年を宣告された。その後の2審で懲役1年、執行猶予2年へと減刑され、6カ月の拘禁生活の末に出所している。
出所後、キム・シウォンは2018年から「アフリカTV」で配信者として活動して成功し、2023年には約24億ウォン(約2億4000万円)を稼いだとされて話題を集めたりした。

個人情報やプライベートなやり取りを世間に広めると脅されるパターンが多いことがわかるが、それがいかに効果的かがわかる実例がある。脅迫を受けた被害者でありながら、活動を自粛せざるを得なかったスターがいるのだ。
映画『カンナさん大成功です!』や『霜花店(サンファジョム) 運命、その愛』『10人の泥棒たち』、ドラマ『奇皇后~ふたつの愛 涙の誓い~』などで知られる俳優のチュ・ジンモだ。
チュ・ジンモは2020年1月、携帯電話のハッキング・恐喝事件に巻き込まれた。当時、所属事務所は「チュ・ジンモの個人電話がハッキングされ、芸能人であることを理由に私生活を侵害し、個人資料をメディアに公開すると脅迫された」と明らかにし、法的に強硬な対応を取る意思を示した。
それから3カ月後には、犯人グループの一部が逮捕された。彼らはチュ・ジンモを含む著名人8人などから、計6億1000万ウォン(約6100万円)を受け取っていたことが判明。だが、チュ・ジンモは警察に即時通報し、金銭的な被害は避けることができた。

明らかにチュ・ジンモは“被害者”だが、事件後もチュ・ジンモはテレビでの姿を見ることはほとんどなかった。ハッキングによって流出したプライベートな会話に、女性を品定めするような内容が含まれており、低俗な言葉遣いや歪んだ道徳性が物議をかもしたからだ。
チュ・ジンモは活動を自粛し、約5年後の2024年になってようやくテレビ復帰を果たした。今年2月には、日本でファンミーティングも開いている。
広く顔と名を知られる芸能人という立場ゆえに、加害者と被害者が入れ替わったように見える構図が生まれることもあるが、それでも脅迫という手段を選んだ側に非があるのは明らかだ。これ以上、同様の被害に苦しむ芸能人が現れないことを願うばかりだ。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
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