“韓国のイチロー”がヤンキー・スタジアムで放った2本のアーチは単なる本塁打ではない。現地中継陣がイ・ジョンフ(26)の活躍をレジェンド選手となぞらえて評価した。
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イ・ジョンフは4月14日(日本時間)、敵地ヤンキー・スタジアムで行われたニューヨーク・ヤンキース戦に「3番・中堅手」で先発出場し、4回にソロ本塁打、6回に3ラン本塁打を放った。
試合はジャイアンツが5-4で勝利。この日記録した4打点は、チームの5得点のうち80%を占めた。
最初の本塁打は4回、0-3とリードを許した場面で生まれた。相手はヤンキースの左腕エースであるカルロス・ロドン(32)。彼が6球目に投じた138kmのスライダーを打ち返し、右中間スタンドへボールを運んだ。
6回にはさらに劇的な場面が待っていた。一死一、二塁の状況で、ロドンの131kmのカーブを完璧にとらえ、右方向への逆転3ラン本塁打を放ったのだ。これはイ・ジョンフにとってMLB初の2打席連続本塁打となった。
2日前のヤンキース戦でも本塁打を放っているイ・ジョンフは、今回の3連戦で本塁打3本、7打点、打率0.444(9打数4安打)を記録した。今季の本塁打は3本で、昨季の本数(2本)をすでに上回った。
“韓国のイチロー”にニューヨーク現地も大興奮
イ・ジョンフは試合後のインタビューで、「ロドン相手の本塁打は特別というわけではない。チームが勝ってウイニングシリーズを持ってくることができたのがより重要だ」と冷静に語った。
さらに、「ヤンキー・スタジアムは雰囲気も天気も簡単ではなかったが、集中した。精神力がより重要だった」と話した。
この日の中継陣は、イ・ジョンフの本塁打が出ると「まるでベーブ・ルースの本塁打を見ているようだ」と感嘆の声を上げた。ニューヨーク現地のファンも拍手を送り、「イ・ジョンフ」という名前は一気にヤンキー・スタジアムの電光掲示板の主人公となった。
ジャイアンツの期待を一身に受けて昨季にMLBデビューしたイ・ジョンフは、同年は肩の負傷で早々にシーズンを早々に終えた。残した記録は2本塁打、8打点、OPS(出塁率+長打率)0.641にとどまった。
ただ、今シーズンは違う。わずか14試合で打率0.352、3本塁打、11打点、OPS 1.130という数字を記録している。すでに「2年目のジンクス」は消し去った。

ヤンキー・スタジアムはこれまで、ベーブ・ルース、ミッキー・マントル、デレク・ジーターなどMLB屈指のレジェンドが活躍した舞台だ。イ・ジョンフはその象徴的な舞台の中心で、MLB屈指の投手を相手に2度もフェンスを越える本塁打を記録した。
MLBファンにとって、イ・ジョンフはもはや“未知の存在”ではない。今後のさらなる活躍が楽しみだ。
◇イ・ジョンフ プロフィール
1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。サンフランシスコ・ジャイアンツ所属。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。2023年12月13日、米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツと6年総額1億1300万ドル(日本円=約164億円)で契約した。愛称は「韓国のイチロー」。
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