Mate Xsは昨年2月に発表された「Mate X」の後継モデル。ディスプレイを外側に折りまげる「山折り式」のデザインを踏襲している。ディスプレイサイズは開いた時が8インチ(2480x2200ピクセル)、閉じたときのメイン側が6.6インチ(2480x1180ピクセル)、裏側が6.38インチとなる。閉じたときは基本的にメイン側を使うことになる。
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本体デザインはMate Xと変わらず、サイズは開いた時が161.3 x 146.2 x 5.4 mm、閉じたときが161.3 x 78.5 x 11 mm、重量は4500mAhだ。Mate XsがMate Xから大きく進化したのはSoCが5Gモデムを包括する「Kirin 990」になったこと。CPUは23%、GPUは39%、NPUは数割高速化され、NPUは460%も高速化されている。AI周りの機能を使うときに性能の差が大きく表れそうだ。
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カメラは4000万画素ワイド、1600万画素ウルトラワイド、800万画素望遠、TOFと合計4つ。背面側に配置されるため正面にはカメラが無く、8インチのディスプレイすべてを表示領域として利用できる。
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さてまずは閉じた状態で本体を持ってみた。6.6インチ、アスペクト比19.5:9のディスプレイはそのままスマートフォンとして使っても快適な大きさだ。ディスプレイの表面はガラスではなく硬質で透明なポリイミド樹脂のダブルレイヤー仕上げで、ヒンジ部分で曲げることができながらも表面を硬くしている。
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閉じた状態で裏返すともう1つのディスプレイが現れるが、通常はこちらのディスプレイは利用しない。左上に4つのカメラが並んでいるが、このカメラを使って自撮りをするときにこちら側のディスプレイがプレビュー画面となる。なおその状態でホーム画面に戻ればこちらの狭い画面を使い続けることができるが、表側の大きい画面を使ったほうが操作は快適だろう。
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本体を横から見ると、閉じたディスプレイは密着しており隙間はほぼ見えない。内側に折りたたむ「谷折り式」のサムスンの「Galaxy Fold」はヒンジ部分のカーブが大きく隙間が目立ったが、Mate Xsはぴたりと閉じることができるのだ。
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さてディスプレイを開く場合は、背面のカメラ下にあるボタンを押す。するとばね仕掛けでディスプレイが40度くらいの角度で開く。開いている途中の角度で止めることはできず。閉じるか開くか、どちらかの状態で使うようになっている。
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ディスプレイを開くと表示は全画面となる。この状態でヒンジ部分を見ると、ディスプレイの曲がっている面にシワなどは見られず、1枚のディスプレイが綺麗に折りたたまれていることがわかる。
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そして両手でディスプレイを完全に開くと、1枚のディスプレイとして固定されタブレットのように大きい画面を使うことができるのだ。なおディスプレイの固定時にはクリック感はなく、強めに折りまげればそのまま畳むことができる。
ディスプレイの表面はガラスほどの硬さはないものの、指先で押すぐらいであればへこむこともなくタッチの感触は悪くない。とはいえ爪先で強く押すと小さなへこみ傷ができてしまうようなので、持ち運びにはちょっと気を付けたいところ。Mate Xには本体の外側に巻き付ける「海苔巻き型」ケースが登場したが、Mate Xsには用意されていない。おそらくMate Xsはディスプレイの表面がMate Xより硬い素材になっているのだろう。
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この開いた状態を受けら見ると、裏側のカメラ部分の出っ張った部分がグリップのような形状になっていることがわかる。そのため右手でグリップを持って使うと落下しにくくしっかりと本体を保持できる。一般的なタブレットよりも持ちやすいと感じられた。
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Mate Xはちょうど1年前に大々的に発表されたものの、市場に出てきたのは10月で、しかも中国以外には投入されなかったようだ。Mate XsはMate Xを改良し、改めてグローバル市場に向けて投入される折りたたみスマートフォンと言える。そのためサイズや基本機能はほとんど変わっていないのだ。
しかしMate Xsには大きな進化が加えられた。それは複数アプリを利用するマルチウィンドウ機能だ。Android OSの標準機能にもマルチウィンドウ機能はあるが、決して使いやすいものとは言えない。Mate Xsのマルチウィンドウは、まずディスプレイの右側から中央に向け1cmほど指先をスワイプ、するとアプリアイコンが縦にならぶメニューが出てくる。
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この縦に並んだアプリの中から、使いたいアイコンを画面にドラッグすると表示が左右に分割され2つのアプリを同時に利用できる。また使いたいアイコンをタップするとそのアプリが小さい画面としてポップアップウィンドウで重ねて表示される。複数アプリの使い方も2通りを提供しているのだ。
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このマルチウィンドウは本体を閉じた状態でも利用できる。開いた状態で2つのアプリを左右で使いながら、画面を閉じると今度は上下に2画面で表示されるのだ。またこの状態で同様に画面の右からスワイプすれば、アイコンが縦表示され、そこから使いたい位アプリを選択できる。
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Mate Xsの利点は「閉じればスマートフォン、開けばタブレット」だが、開いた状態でアプリを2つ並べて表示すれば「2台のスマートフォン」を使っているような使用感が得られる。大画面を折りたたんで持ち運びやすくしただけではなく、大画面で利用時により使いやすくなるようなユーザーインターフェース(UI)が追加されたのだ。各社から折りたたみ式スマートフォンが次々とでてくる中、Mate XsのUIは他社品を一歩リードしているように感じられた。