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■スマホ販売店では大特価販売
韓国で世界初の5G商用サービスをスタートさせたのはSKテレコム、KT、LG U+の3キャリアだ。3社ともそれぞれ独自に5Gネットワークを構築し、スマートフォン向けの5G商用サービスをスタートさせた。エリアマップを見る限りは広く5Gエリアが展開されているように思えるが、実際には一部で入る程度で、これから順次カバーエリアを拡大していくという段階だ。また5G対応スマートフォンとして、まず「Samsung Galaxy S10 5G」が販売開始され、さらに5月11日からはデュアルディスプレイを備える5G対応スマートフォン「LG V50 ThinQ」も発売が開始された。5Gスタートを機にユーザーの争奪を狙う各キャリアの販売キャンペーンもスタートしているようだ。
もともと韓国では販売支援金(日本でいう販売奨励金)が政府により規制され、回線契約を伴う端末販売時の値引きは原則として禁止されているが、5G商用サービスの普及を目的に5Gの契約に限って販売支援金の制限を一部緩和しているようで、各キャリアとも最新5G端末の大幅値引き販売を行っていた。販売店店頭では日本でおなじみの「実質0円」といった販促ポスターも見受けられた。また、通信キャリアは5G契約でデータ通信容量を無制限で使えるプランを用意するなど、5G契約者を優遇するキャンペーンを展開。
ユーザーとしてはこうしたキャンペーンは大歓迎で、4G LTEに加え5Gも利用可能なスマートフォンが安価に入手、利用できるのであればと、この機会に最新5G端末に買い替えるユーザーが絶えないという。
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韓国でスタートした5G商用サービスであるが、3キャリアに対して5Gの免許が下りたのは昨年12月で、そこから5Gネットワークの整備が始まった。したがって、なんとか開業にはこぎつけたものの、5Gの対応エリアは限定的で、まだまだ実用的なものとは言い難い。そうした状況で、5Gを契約したユーザーからクレームが出ないのかとも思ったが、もともとLTEが充実していた韓国なので「4G LTEが使える上で、さらに運良く5Gにつながればさらに高速な通信が利用できる。最新端末が安価に買えて、料金プランでも様々なキャンペーンでお得に使えるから、何ら不満はない」のだという。
ちなみに、韓国で5Gネットワークを利用するには、韓国3キャリアいずれかのポストペイド契約の回線が必要となる。この回線契約には韓国における住民登録番号が必要となるため、旅行者が契約することはできない。旅行者向けのプリペイド契約や、日本の回線契約での韓国ローミングでは5Gは利用できなかった。端末は3キャリアのショップで購入する際には、端末自体はSIMフリーであるが、回線契約が必須となる。端末メーカーの直営ショップであれば端末だけ購入することもできるが、5Gネットワーク対応のSIMカードがなければ5Gを体感することはできない。
■3キャリアは体験重視の訴求キャンペーンを展開
韓国でICT関連の新サービスがスタートすると、よく見かけるのが体験型のキャンペーンである。韓国はこれまで世界に先行してICTを活用した様々なサービスがスタートしてきた。世の中で初めてスタートする技術やサービスを多くの人たちに理解していただくためには、体験型のキャンペーンが欠かせないというわけだ。
5G関連のプロモーションに関しても、3キャリアがそれぞれ工夫して5G体験キャンペーンを主要スポットで展開していた。コンセプトはいずれも“5Gのある生活を体験”といったノリで、5Gによって実現するであろう生活に触れてもらうような仕立てだ。ソウル市内で人が集まるエリアに行けば、ほぼこうした特設の5G体験のためのイベントスペースやブースなどを見かけた。筆者は、その1つでLG U+が江南(カンナム)駅近くでビルの2フロアを借り切った「5G体験館」が期間限定でオープンしていたので立ち寄ってみた。
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5Gでまずま訴求したいことといえば「高速大容量」と「低遅延」。これらを手っ取り早く体験できるのがVR(仮想現実)やAR(拡張現実)なのだろう。たとえば5Gの高速大容量な通信によって、従来よりもさらに高精細な動画映像の受信が可能になるはずだ。VRゴーグルを装着すると、豪華な自宅のダイニングで美女と会話を交わしながら食事を楽しむ空間が現れた。360度すべての方向に空間が見えるVRは自分自身がその空間に没入する体験ができる。とはいえ360度の動画映像となればかなりのデータ容量になるので、これまでの4Gでの通信では解像度のアラも目について、いまひとつリアリティに欠けていた。ところが5Gであれば4K、8Kクオリティの動画映像もスムーズに送受信できると言わんばかりの高精細360度動画が眼前に広がった。その映像を一言で表現すると「生々しい」、というか「思わず目の前にいる女性に手を伸ばしたくなってしまいそう」な、そんな印象であった。
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このほか、ARを使ってバーチャルなキャラクターと現実空間との一体感を体験できるコーナーや、オンライン対戦ゲーム等を体験できるコーナーでは5Gの低遅延を訴求。このほかにもスタジアムで開催される競技を、VRを使ってスタジアムの様々なビューポイントへ視点を切り替えたりして視聴可能なスポーツバー風のコーナーなど、盛りだくさんの体験ブースが用意されていた。
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こうした体験型のキャンペーンはわが国でも珍しいことではないが、韓国の場合はエンターテインメントの一つとして街中の人々に自然に受け入れられているように感じた。わが国の場合、一般ユーザー向けのイベントであっても、どうしても技術的な面のアピールも欠かさないものだが、韓国の場合は「5Gのある生活を体験」ということならば、その体験だけに徹して面倒な技術の話は省いているのだ。このLG U+の「5G体験館」でも、各所に「5G」のロゴこそ目立ってはいて、「5Gによってこんな生活が広がるんだ」という理解はできるが、技術的な解説等は目立つところには見受けられなかった。当然のことながら通信キャリアが用意したスペースでありながらここで契約や販売は一切行っておらず、通行人が気軽に立ち寄って楽しんでいけるスポットとして賑わいを見せていた。
ただ、これらの体験スペースのネットワークは実際には5GではなくWiFiで補われていたの実情で、ちょっと先を疑似体験するものとなっていた。
■端末の性能を前面に5Gをアピールするサムスン電子
端末メーカーとして、韓国の5G商用サービスに対応した初の端末を発売したサムスン電子は、各通信キャリアとは別に独自に5Gキャンペーンを展開、韓国主要都市で5Gのテクノロジーと対応端末としてのGalaxy S10 5GをPRしていた。サムスン電子によれば、ソウル市内7カ所、それ以外の都市を含めると計9カ所で、5月末まで5Gキャンペーンブースを展開したという。筆者が立ち寄った、国際会議場や巨大な地下ショッピングモールがあるコエックス(COEX)の入り口に特設のキャンペーンブースに立ち寄った。ここではGalaxy S10 5Gを多数並べ、実際の5Gネットワークの電波を掴んだ端末実機でその通信速度をアピールしていた。そのほかにも、たとえば大学が多く集まり、若者であふれかえる弘大(ホンデ)エリアでも、サムスン電子特設のGalaxy S10 5G体験コーナーを見かけた。
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こうしたキャンペーンは5月末まで各所で展開されるということだったが、わが国と同様にスマホ販売が盛り上がる夏商戦時期などにも再び展開されるのだろう。