
ブースで最も目を奪われたのは、ダイムラーグループのDaimler Financial Services社が開発した“デジタル・ヒューマン”の「Sarah」だった。初めてブースを通りがかったときには、PC用ディスプレイで女性の動画を再生しているのだろうと勘違いして通り過ぎてしまったが、「これは何か?」と同社のスタッフに訊ねたところ「人工知能を持ったキャラクターが自ら動いているのだ」という答えが返ってきて度肝を抜かれた。

画面をまじまじと眺めてみても、肌の質感や目の動き、ふとした表情のひとつひとつが本物の人間にしか見えない。これで普通に話しかけられでもしたら、テレビ電話の向こう側にいる人が話しかけてきたのだろうと間違いなく思うだろう。でもこれはいわゆるコンピューター・グラフィックなのだ。
今回の展示ではサラがしゃべるデモは披露されなかったが、代わりにディスプレイの上に装着されている顔認識センサーとアイトラッキングカメラを使って、サラが前に立った人物の表情や顔の向きに合わせて動く様子を見ることができた。サラはこちらの表情に合わせながら感情の動きを判別する機能を持っているという。


同社ではまだサラをどういう用途で活躍できるデジタル・ヒューマンとしてプロモートしていくか、プランを決めていないのだという。ありがちな企業の受付、ショッピングセンターのガイド役など考えられるが、どうせなら人工知能を強化しながらコンシューマー向けのサービスとして、「ドライブ・コンシェルジュのサラを搭載するベンツ」の商品化にまで発展したら面白そうだ。最近テレビドラマとしてリメイクされた桂正和の名作「電影少女」を彷彿とさせるAIの新展開を、MWCに出展した自動車メーカーのブースで見られたことの意外性になぜか大きな満足感を得てしまった。

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