■満を持して日本に上陸する“逆輸入”プロダクト
実はこの端末、日本のスタートアップが開発した製品だ。海外でのヒットを足がかりに満を持して日本上陸を果たす、いわば“逆輸入”プロダクトなのだ。スタートアップとしては珍しい形でのビジネスを成功させた秘訣を、メーカーであるDmet ProductsのCEO 楠太吾氏に聞いた。

SoundMoovzをつくったDmet Productsは2016年6月に設立されたばかりの若いスタートアップ。現在はCEOの楠氏をはじめ、エンジニア、デザイナー、セールスマネージャーなど8名がチームを組む。CEOの楠氏はダンサーの“DAIGO”として学生時代には全国大会で2度優勝したというユニークな経歴の持ち主だ。SoundMoovzのアイデアもまさしく楠氏のダンサーとしての経験から生まれている。
「ダンスは普通、音楽を聴きながら踊るものですが、SoundMoovzは踊ることによって音を出すガジェットです」と、楠氏が特徴を語るデバイスの仕組みと使い方はとてもシンプル。センサーを内蔵するバンド型の本体を手首や足首に巻いて、Bluetoothでペアリングされたスマホなどのモバイル端末とiOS/Android対応の専用アプリ「SoundMoovz App」から鳴らしたい音源などを選択しておく。すると、SoundMoovzの動きと同期してスマホのスピーカーから音が鳴る。スマホを有線・無線のスピーカーにつなげばさらに迫力のある大きな音も出せる。


アプリには色んな機能が用意されている。たとえば独自のクラウドサーバー「SoundShare」に登録されている400種類以上の音源は、使いたいものを端末のストレージ容量が許す限りダウンロードできる。スマホの内蔵マイクでユーザーの声を録音して音源として使ったり、スマホに保存されている音楽ファイルを流しながら、SoundMoovzで再生したサウンドをミックスして楽しむのもいい。



楠氏は「ダンスに合わせて音を鳴らせることがこの製品の特徴なので、無線通信の遅延を少なくすることには腐心しました」と、開発時に課題になったポイントを振り返っている。Bluetoothによる無線通信の感度や精度を念入りにチューニングして、デバイスどうしの同期性能を高めた。筆者も実機をハンドリングしながら遅延性能を確かめてみたが、なるほど端末を動かすとスマホやタブレットから小気味良く反応が返ってくる。これはパーカッション楽器を持って音を鳴らしながら躍っているような感覚に近いかもしれない。