デジタルグラフィクスの技術を駆使して現実では有り得ないオブジェクトを空間に描いたり、ARは脳の活性化も促進するエンターテイメントにもなる。実際にARKitのフレームワークを活用した文教系のARアプリも次々と生まれている。そのひとつがファンタムスティックが開発した「算数忍者AR」だ。

算数忍者ARは子どもが楽しみながら算数を学べるように開発されたアプリだ。クイズ形式で出題される足し算の答えを持つキャラクターを、AR空間に描かれる忍者屋敷の中で探し当ててつかまえるゲーム形式のコンテンツが人気を博しているという。iOSデバイスの画面の中に描画される立体的なARオブジェクトは様々な角度からのぞき込むことができるので、子どもたちがデバイスを手にAR空間の中を動き回るような感覚で体を動かしながらキャラクターを探せる。さらに数学力も身につくというふたつの効果が同時に得られる。


算数の問題を10個クリアするともらえる40種類のカードを集めるイベントも、学習を続けるモチベーションになりそうだ。大人も意外と遊べるアプリなのでおすすめだ。
■引越に便利。間取りを計測できる「LIFULL HOME'S」
不動産・住宅情報サイトのLIFULL HOME'S(ライフルホームズ)を提供するLIFULLが開発したARシュミレーターは引越の時に役に立ちそうだ。アプリを立ち上げて、室内の床など平面部分にかざすとCGのメジャー(ものさし)が表れて、部屋の間取りが計測できる。イメージキャラクターのホームズくんもアプリの中に登場して機能の使い方をガイドしてくれる。


計測した間取りは位置情報ごとにソートされる。データにメモやカメラで撮影した画像も添付しおけば、アプリ内で一括管理もできるので1日にまとめて何軒も物件を見て回るときに重宝する。


■「RoomCo AR」でわが家に憧れの家具を置いてみよう
リビングスタイルが開発した「RoomCo(ルムコ) AR」は、家具のショッピングに役立つARシミュレーターだ。iPhoneをかざした場所に、買ってわが家の部屋に置いてみたい家具を“仮置き”して試せる。昨年の9月からARマーカーベースでのARシミュレーター機能は実現していたが、今年の9月からはARKitに対応してますます手軽に使えるようになった。

アプリには3つの特徴がある。ひとつはカタログに収録された22ブランド・約30万点の家具をAR空間の中に3Dオブジェクトとしてほぼ実寸大で配置できること。手軽に試着できる服や靴と違って、家具はわが家に借りて置いてみることが容易にできなかったので、ARテクノロジーとの相性がとても良かったのだと、アプリの開発に目を付けたリビングスタイルの代表取締役 坂本尊志氏がコメントしている。

ふたつめの特徴は膨大な家具のカタログデータから、家具の種類や用途、ブランドなどの条件を指定して素速くかんたんに検索できる機能を用意したこと。そして最後の特徴は、シミュレーションして気に入った家具を、ルムコアプリにつながっている各ブランドのECサイトから購入できる仕組みが整っていることだ。


ARKitはARマーカーを必要としないので、空間の中にいくつもの家具データを自由に“置きまくれる”のが楽しい。アプリを目一杯楽しんでいるうちに、本気で新しいソファを買いたくなってきた。