■複数のスピーカーを1台のiPhoneでコントロール
まずはオーディオ・ビジュアル関連。これまでも、AirPlayの機能を使えば、iOSデバイスで再生している音楽を家庭内のWi-Fiを経由してオーディオシステムに飛ばしたり、Apple TVを間に挟んでテレビの大画面にiPhoneで撮影した動画を映すことができていた。
今回、iOS 11で進化する「AirPlay 2」では、家庭内のWi-Fiに接続されている複数のオーディオシステムやワイヤレススピーカーを1台のiOSデバイスから同時にコントロールできる機能が加わる。例えばリビングのオーディオシステム、キッチンのワイヤレススピーカーで同じ音楽をかけて、料理の支度をしながら家族と同じ音楽を聴きながら過ごせるマルチルームストリーミングが便利だ。
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同じホームネットワークの範囲内であれば、家の1階と2階など離れた場所に置いてあるスピーカーを同期することも可能だ。HomeアプリやSiriを使ったコントロールにも対応するので、色々と便利な使い方のイメージがわいてきそうだ。
■Apple Musicはユーザーとユーザーがつながるレコメンデーション機能を強化
音楽配信サービスの「Apple Music」はSiriとの連携を深めていく。デバイス上での学習機能を活用しながら、ユーザーの音楽の好みを把握しておすすめの曲を再生してくれる。「この曲の作曲者は?」とSiriに質問しながら好きな音楽の知識も掘り下げられる。
さらに、Apple Musicのユーザーは自分のプロフィールを作ってプレイリストを公開できるようになる。ユーザーにおすすめの曲やアーティストをレコメンする「For You」には「友だちが聴いている曲」のメニューを新設。フォローしている会員メンバーが公開したプレイリストやアルバム、ステーションをチェックしながら自分の音楽の守備範囲を広げていける。
現在Apple Musicには約4,000万曲のカタログがあると言われている。検索機能に加えて、キュレーターによるレコメンドを使いこなせば好みの曲を見つけることはそう難しくはないが、自分の好みに近いユーザーや友だちがよく聴いている音楽もフォローできれば、新しい音楽と出会える可能性も広がってくる。
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■おすすめアプリを紹介するキュレーションシステム
「App Store」が9年前に登場してから、およそ数百万のアプリが公開されてきた。現在も200万近いアプリを利用できるが、ユーザーが求めているアプリとの出会いをさらに促進するため、Apple Musicと同じように“アップルの中の人”であるエディターがおすすめアプリを紹介するキュレーションシステムが導入される。
「Today」では最新アプリの更新情報や、アプリの開発ストーリー、使い方のTIPSなどニュース的な要素も紹介。「ゲーム」タブが新設され、熟練のゲーマーたちがエディターとなって、おすすめのアプリ情報を日々更新する。アプリの検索結果にはエディターが作成したコンテンツも並ぶようになるので、「なんとなくこんなアプリを探している」時にお目当てのアプリと出会える確率が高まるだろう。
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AR(拡張現実)に対応するiOSアプリを開発するための「ARKit」もデベロッパー向けに公開された。ARの技術を活かしたゲームアプリのほか、現実空間にCGのソファーやテーブルなどのオブジェクトを置いて部屋の模様替えを吟味したり、より実用的なARアプリがiPhoneでもより気軽に使えるようになればARそのものの普及が進みそうだ。
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■運転中であることを自動検知して“通知”をオフ
前回の「旅行の時に便利そうなiOS 11の新機能」でお伝えできなかった、通知の新機能「おやすみモード」についても触れておこう。現在iOS 10にも採用されているおやすみモードは、オンにするとデバイスをロック中に通信と通知が知らされなくなるというものだ。どちらも運転中に届くと気になって、つい“ながら運転”をしてしまい事故の元にもなりかねない。
iOS 11では、ユーザーがいま運転中であることをiPhoneが内蔵するセンサーで自動検知して、おやすみモードをオンにしてくれる機能が加わる。家族や友だちを連絡先の「よく使う項目」に登録しておけば、現在運転中で目的地に到着するまで応答ができないことを相手に伝えるメッセージも自動で返信してくれる。仕事は車での移動が多かったり、車で旅行に出かける時にはぜひ上手に活用したい。
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コントロールセンターのデザイン変更については、今まで複数ページに分かれていたアイコンを1画面にまとめて、様々な機能へのアクセシビリティを高めている。コントロールセンターの整理整頓、機能追加は「設定」アプリからおこなえるので、必要な機能の足し引きも自在。なお、前回iOS 11パブリックベータのハンドリングをレポートした記事で、iOS 11のコントロールセンターでは音楽再生など各機能の詳細にアクセスがしづらくなったと報告したが、実際にはコントロールセンターのメイン画面のアイコンを長押しすると、それぞれの機能の詳細を調整できるサブ画面がポップアップする、使いやすさで劣らない仕様になっている。訂正してお詫び申し上げたい。
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