高速道路などに設置される非常電話機は、あまり知られていないが、専用回線を使い、騒音下で通話することを想定して、送話部にノイズキャンセル機能を搭載したものとなっている。 しかし、トンネルなどに設置されている非常電話機の場合は、車の騒音などがトンネルで反響してしまい、ノイズキャンセル機能をもってしても電話の受け手側が聞き取りずらいという課題があった。その対策として、トンネル内に電話ボックスを設置するというケースもあったが、導入や保守の費用面、設置スペースの確保といった面で実現できないトンネルも少なくない。 22日まで東京ビッグサイトで開催されていた「インフラ検査・維持管理展」に出展していたネクスコ東日本エンジニアリングは、そうした課題を解決するための骨伝導式非常電話機を出品し、一般的な電話機、従来の非常電話機、骨伝導式非常電話機の違いを体感できるデモ展示を行っていたので、詳しく紹介していこう。 そもそも従来の非常電話機にもノイズキャンセル機能は付いていることは前述したが、送話部から見て、後方から発生するノイズをキャンセルする技術のため、トンネルでは音が前方にも回り込んでしまうケースが多かった。 骨伝導式非常電話機では、振動センサー素子を使うことで骨伝導音を取得し(骨伝導マイク)、さらに従来の非常電話機と同様に直接口から発せられる音を拾う気導マイクを搭載することで、トンネルのような特殊な騒音環境下でも確実な情報伝達が可能になるのだそうだ。 2つのマイクを採用しているのにも理由があり、それは骨伝導マイクだけだと、若干こもった音になり、これまた聞きにくくなってしまうからだ。そこで同製品では、気導マイクと骨伝導マイクの双方で収集した音を重畳して送ることで、スムーズな通話が可能にしている。 また、受話部に遮音パッドが付いているので、電話の発信者側もオペレーターの声を確実に聞き取ることができる。筆者もブースで比較デモを体験したが、違いは明白で、感動すら覚えた。すでに全国の高速道路で導入が進んでいるが、今後は国道などのトンネルを管理する国土交通省などにも提案していきたいとのこと。