災害発生時の情報ステーション化や、防犯カメラの併設、災害備蓄品の販売・設置など、自動販売機を防災・防犯利用する動きは、ここ最近の大きな流れとなっている。 東京ビッグサイトで15日まで開催されていた「オフィス防災EXPO」で、ダイドードリンコは、話題の防犯監視システムの「DEFENDER-X」や、企業内でのストレスチェックなどに使用できる「メンタルチェッカー」の実演デモと導入について展示を行っていた。自動販売機の設置により、防犯監視システム「DEFENDER-X」などの導入コストを相殺できるというものとなっている。●悪さを行おうとする人の心理状態を可視化 「DEFENDER-X」はソチオリンピックや海外の空港などで導入実績がある「不審者事前検知ソフト」で、国内でも大手警備メーカーも採用し、現在さまざまな導入案件が進んでいる。一般的な防犯カメラの映像から対象人物の微細な振動成分を抽出し、不審者の事前検知を可能とする。 一般的な防犯カメラシステムと比較するとコストは高くなるが、自動販売機の運用利益と相殺することでコストを抑えることができるため、大規模な施設などでは導入の相乗効果も期待できるという。●自動販売機でストレスチェック! 一方で「メンタルチェッカー」は「DEFENDER-X」と基本技術を同じくするもので、カメラで対象人物を正面から60秒ほど撮影することで、ストレスや攻撃性、緊張度合いなどを測定することができるもの。企業内で継続使用することで、従業員のストレスチェックなどが可能となる。こちらも自動販売機の設置で導入コストを相殺できるビジネスモデルが提案されている。 また、同社では自動販売機を災害備蓄用として兼用できる提案も行っている。災害発生時には自動販売機内の商品を取り出して利用できるようにするため、商品をそのまま災害備蓄として運用できる仕組みとなっている。こちらも設置場所や運用形態によって、自動販売機の導入コストをゼロにする提案なども行っている。 自動販売機に併設したサイネージで災害時の情報伝達を行うことができるシステムも、自治体や公園などの施設などをはじめとして導入が行われている。展示されていた「ふるさと納税販売機」は、埼玉県深谷市に設置されたものと同型のもので、災害時の対応に加えて通常時は地域情報の表示を行い、ドリンクについているQRコードから「ふるさと納税」へ誘導できるビジネスモデルが注目されている。 現在、自動販売機は、防犯カメラを併設したり、公共無線LAN、ネットワーク断絶時の情報伝達拠点、緊急時の電源供給といったインフラ活用など、さまざまな活用方法が提案され始めている。日本中どこにでもある自動販売機が、防犯・防災拠点として広く認識される日は近いかもしれない。