米Microsoftは現地時間10日、開催中のパートナー向けイベント「Worldwide Partner Conference 2016」(WPC 2016)において、昨年1月に発表したメガネ型ホログラムコンピューター「HoloLens」の活用事例を紹介した。■「HoloLens」とは? まずは、Microsoftが販売している「HoloLens」について、改めて紹介しておこう。 同デバイスは、昨年1月に発表されたメガネ型のホログラムコンピューター。マーカーを使わず、部屋の環境を認識して壁をスクリーンにすることが可能なほか、テーブルの上に仮想物体を置いたり、ユーザーの視線方向や手の動きを認識して、仮想ホログラムを触って操作したりすることができる。 なお、最近では各社が仮想現実(VR)に関して研究開発を進めているが、「HoloLens」は複合現実(MR)に分類される点で差別化される。いわば現実と仮想現実を合わせたようなジャンルだ。 ゲームをはじめとしたエンタテインメント関連への活用、Windowsアプリなどの新たな可能性、および産業分野への応用が主に期待されてきた。■産業用途にも多くの可能性 「HoloLens」について軽く紹介したところで、本題に戻ろう。今回、事例紹介に用いられたのは、JAL(日本航空)。同社は昨年8月からMicrosoftとパートナーシップを組み、業務への「HoloLens」活用について検証してきた。そして、今回その成果として完成した、機体の燃料システム整備におけるデモ映像が会場に映しだされた。 燃料システムは精密機器。複雑な構造をしているだけでなく、大きさもかなりのものなので、実物を使ってメンテナンス方法や、その動作イメージなどを学ぶのは難しい。また、実機を用いた説明は危険が伴う。これまで現場では多大なる苦労があったはずだ。 だが、「HoloLens」を使えば、音声認識や指を使った操作のみで、細かな部品の説明を受けることが可能になる。映しだされる仮想物体の大きさも自由に調整できるので、もっと細かく部品や構造を見たいという場面にも、もってこいだ。二次元の映像ではリアリティに欠けていた箇所も、「HoloLens」なら理解しやすい。 今回はJALの事例紹介だったが、こうした技術は製造や医療の現場でも、大いなる需要がありそうだ。