富士通研究所は、東京大学、東邦大学と共同で、IoT機器で高速に動作する暗号通信向け認証技術を開発したことを発表した。公開鍵暗号を利用した暗号通信方式TLSの認証処理時間を、従来方式と比較して約5分の1に短縮している。 パソコンやスマートフォンでは、安全な通信やデータ改ざん防止に公開鍵暗号を使用したTLS認証が使用されているが、IoT機器では性能的に、認証時間や消費電力などの問題から実装が困難とされていた。 今回共同開発された認証方式では、機能をTLSに必要な認証と鍵交換に限定して処理量の少ない認証付き鍵交換方式を導入し、最初にIDを通知する仕組みで効率的な通信手順を実現したという。同時に類似した演算をまとめて実行可能にする方式により、IDベース暗号における鍵交換処理の高速化を実現した。 同等の暗号強度を持つ従来方式に比べ、TLSの処理時間を約5分の1に軽減できるため、処理能力が低いIoT機器でも数百mm程度の認証時間でTLSを利用でき、セキュリティやプライバシーが必要な用途での運用が可能となる。 今後は2017年度の実用化を目指し、IEE1888(スマートシティの構築に必要なコミュニティの監視制御を担う通信規格)通信ソフトウェアを、東大グリーンICTプロジェクト参加団体へ提供し、運用の拡大を図っていく。