観光庁が全国のホテルや旅館を対象に、「入れ墨がある方に対する入浴可否」についての実態調査を実施した。この調査によると、入れ墨のある人の入浴を断っている施設が半数を超えていることが明らかになった。 外国人観光客が増加し、国内の温泉を訪れるケースも多くなっている。そんななかで議論を呼んでいるのが入れ墨(タトゥー)に関する問題だ。国内では伝統的に反社会的勢力の象徴というイメージが強く、公衆浴場では入れ墨が入った人の入浴を断る文化がある。一方、外国ではタトゥーはファッションの一部として浸透している部分もあり、本来の入浴拒否の目的と合致しない現状の仕組みがトラブルや摩擦の原因になっている。 観光庁の調査はこうした問題を背景としたもの。全国約3800箇所のホテルや旅館へ調査票を送付し、約600施設からの回答をまとめている。これによると、入れ墨のある人の入浴を断っている施設は全体の約56%。特に断っていない施設は約31%で、残る13%は「シールなどで隠す」といった条件付きで入浴を許可している。 入浴を拒否する理由としては、半数以上となる約59%が風紀や衛生面を考慮しての自主規制。次いで多かったのは業界や地元事業者での申し合わせによるもので約13%、警察や自治体の要請や指導によるものが約9%となっている。 観光庁では今後の対応検討のため、さらに詳細な入浴拒否の条件などを調査していく方針で、当面は施設と利用者の摩擦軽減のため、双方に情報提供を行っていくという。