「広島は最高にいいところ。ずっと住んでいたらもう、他のところに行けない。山も、川も、海もあるし、スノーボードだってカヌーだってできる。」 ロンドンで最先端の仕事をしていたときの「何か足りない気持ち」を埋めてくれたのが広島だったが、その広島にもメンデルさんなりの不満はある。「広島は、広い、島。広いけど、島な感じはする。新しい情報が入りづらいし、発信したりもしない。いろいろな人が集まっていろんなインフルエンス(影響)やコネクションが生まれて、そこから新しいものが生まれると思うけど、広島はそれ、少ない。」 地元テレビでのタレント活動や、大規模なハロウィンイベントなど、メンデルさんが広島で精力的に活動し次々とイベントを企画運営しているのも、すべて大好きな広島をもっと素晴らしい場所にするためだ。会場には「広島 モナムール」の文字が映し出されている。「広島をどんどん好きになる。もっともっと好きなところを大事に、おもしろくしたい。家族を大事にするのと、同じことでしょう?」 メンデルさんが次に目指しているのは、ファクトリー(工房)だという。3Dプリンターや金属加工の設備、レイザーカッターなどものづくりをする者たちが自由に集い、語らい、創作に熱中する場所だ。技術と情熱を持っている人が同じ場所に集うことでこの広島からさらに新しく素晴らしいものが産まれるはずだ、とメンデルさんは言う。「どこからか始まらないといけない。たとえ始まる始点が小さくても、そこに情熱があってほしい。情熱が、パッションがあれば必ずいいものが生まれます。情熱なら、ぼくは、世界チャンピオンです。」 情熱が常にメンデルさんのエネルギー源となる。今回のコラボレーションも、メンデルさんの「広島にある情熱をつなげたい」という思いと、「広島の楽しい100人」の「イベントや国といった境界線をなくして、広島を盛り上げたい」という思いが一致してのことだ。「だから、みんなで仲良くなって、もっといい、カラフルな街に作りましょうや」 そう広島弁で熱く観客に語りかけたメンデルさんの広島への恋は、18年の歳月が経った今も、熱々のままだ。