また、青森の山間部ではまだまだLTE化が進んでいない。前述の八甲田エリアの山中を抜ける山道は基本的に3Gのみだ。電波特性上、周波数帯域が高いほど電波は回り込みにくくなる。おそらくドコモが従来から使ってきた800MHz帯(プラチナバンド)を3Gで運用することで、山間部の電波が届きにくいところもカバーしているものと思われる。 早くLTE化したらどうかという声も聞こえてきそうだが、3Gの帯域も一定程度残しておかなくてはならない理由がある。じつはLTEだけでは音声通話ができない端末がまだ大多数なのだ。昨年からLTEネットワーク上で音声通話を実現するVoLTEがスタートしたが、VoLTE非対応の端末では、音声通話時には必ずネットワークを3Gに切り替えて音声通話を行う。 ドコモはまだまだ音声通話を主体に使うユーザー層が少なくない。このため、3Gエリアを縮小するわけにはいかず、一定程度の帯域を確保しておかないと「アンテナマークは立っているのに音声通話だと圏外になってしまう」というようなことが起きかねない。 音声通話対策としての3Gは、いつまで存続させるのかも尋ねたが、たとえば国内の携帯電話やスマートフォンをすべてVoLTE対応のものに置き換えたとしても、海外からの渡航客が3G通話しか対応していない端末を日本に持ち込んで利用するシチュエーションが今後も想定される。 とくに2020年には世界中からのゲストを迎えることになる。その時に、3Gエリアが狭くて携帯電話が使い物にならないとなったら世界の恥となる。だからこそ、2020年以降も引き続き3Gのネットワークは存続させていかなくてはならない。 すべての帯域をさっさとLTE化して高速大容量通信に備えたいというのが通信事業者の立場としての本望なのだろうが、現実には国内はもとより海外から来るユーザーの利用実態に合わせて“慌てず”に、しかしながら可能なところはできる限り前倒しで高度化させていきたい、そうしたジレンマを持ちながらインフラ整備を進めていると感じた。 かつて、携帯電話事業といえば通信事業者が商品企画・委託生産した携帯電話端末を店頭に並べ、端末やサービス内容で差別化を図って通信事業者を選ぶ時代が長らく続いてきた。 しかし、iPhoneをはじめグローバルスマホの同型製品を3通信事業者がラインアップする昨今において、今後の通信事業者選択のポイントはネットワーク品質とその料金とのバランスということになるだろう。ところが昨年から導入された新料金プランは3事業者がほぼ横並びという状況。となれば、あとは通信品質で選ぶしかない。 通信品質というのも各通信事業者一長一短あるのだが、今回の取材を通じて、各社ほぼ同等程度に周波数帯域が割り当てられているなか、最大加入者数を抱えるNTTドコモは不利である。そうした悪条件のなかで技術によってきめ細かく対策を講じつつ、ネットワーク品質の向上に常に取り組んでいるという姿勢を感じることができた。
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