日本放送協会(NHK)は28日より31日まで、NHK放送技術研究所にて「第69回 技研公開」(技研公開2015)を開催している。 高度番組制作技術の1つとして、デモが行われていたのが「多視点ロボットカメラ」。これは、複数のロボットカメラを協調制御することで、動きのある被写体の多視点映像を撮影できるシステムだ。 ひとりのカメラマンが、中央にある1台のマスターカメラを操作することで、その他すべてのスレーブカメラ(ここでは15台)が被写体に対して一斉に向きを変え、さまざまな視点から撮影できる。今回のデモでは、柔道選手が相手を投げる動作を、より分かりやすい視点で表現していた。 本システムは、2013年に公開されたものから複数の改良が加えられた。例えば、カメラ台数を倍増させて、合計16台分とすることで、より広範囲での多視点映像を撮影できるようになった。また、カメラの小型化や、ケーブル本数の削減、方向制御の精度を高め、放送現場での運用性を向上したそうだ。 実作業では、すべての多視点映像を収録したあと、PC上の専用ソフトウェアによって視点を変えるフレームを選び、どの被写体を中心に回していくかを設定すると、映像が自動生成されるという。このような多視点映像を用いると立体的な表現もできるようになる。 今回は制作者や解説者が、スポーツ番組などで、選手の動きや姿勢に応じて撮影映像を切り替え、立体的な映像表現を行える新技術も開発した。これは、特殊な眼鏡をかけずに、上下左右に視差がある自然な立体像を視れる「インテグラル立体テレビ」の撮像システムとしての応用も可能だ。 本研究は、2020年の東京オリンピックでの活用を目指しているそうだ。選手の動きやボールの動きや速さなど、多視点映像で構成することで、視聴者に分かりやすいシーンを表現できるという。
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