4月25日、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで、話題の「連載完結記念 岸本斉史 NARUTO-ナルト-展」がいよいよスタートした。本企画はマンガ家・岸本斉史が1999年から15年にわたり連載してきた『NARUTO-ナルト-』が2014年秋に完結したのを記念するものだ。完結に合わせただけに、その内容も作品の集大成となっている。150点以上にもおよぶ原画や造形物の展示、今回のために制作された映像は物語の始まりから終わりまで、さらに岸本斉史の創作の秘密までを明かす。見どころは多いが、まず見逃せないのは岸本斉史による原画だろう。過去15年の名場面が全体を通じて次から次へと現れる。原画の絵の魅力を紹介する趣旨での展示ではあるが、鑑賞するものが思わずそのマンガを読み始めてしまうのは作品の持つ力だろう。また原画はストーリーやテーマに沿っているだけでなく、サイズを変えた展示や、インスタレーションともなって様々な工夫が凝らせれている。さらにナルト、サスケ、カカシの等身大のフギュアも置かれ、直感的に『NARUTO-ナルト-』の世界が感じられる。展示をみることであらためて『NARUTO-ナルト-』とは?その魅力は何だったのかを考えさせる。今回のもうひとつ見どころは、映像である。会場のなかにも設けたスペースでいくつかの映像が上映されている。それらは岸本斉史の原画を活かしたダイナミックな演出だ。なかでも「木ノ葉 あうん座」や「ナルトとサスケ」の迫力の映像は必見。こちらの中身は会場で確認したい。さらに会場で是非確認したのは、岸本斉史の仕事机の再現である。机の様子もさることながら、本棚に収められた書籍、画集、Blu-rayなどが圧巻である。「やっぱり」と思う作家や作品、ちょっと意外な作品と多彩な資料となっている。まるで岸本斉史の頭の中を覗いているようだ。これを眺めているだけで、『NARUTO-ナルト-』の創作の秘密の一部が理解できるかもしれない。展覧会は『NARUTO-ナルト-』の楽しさ、素晴らしさを今一度確認させる。ファンにとってうれしいのは、「完結記念」とする一方で、これが『NARUTO-ナルト-』の終わりでなく、次の布石となっていることだ。原画展示の最後は、ナルトの息子であるボルトが登場する最新エピソードの原画で締めくくられている。そこからは『NARUTO-ナルト-』の物語はまだまだ終わらないという作者の決意を感じさせる。今回の企画展は、終わりでなく、むしろ新たなスタートのためのものなのかもしれない。「連載完結記念 岸本斉史 NARUTO-ナルト-展」http://naruto-ten.com(東京会場)森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52F)会期: 2015年4月25日(土)~2015年6月28日(日)(大阪会場)大阪文化館・天保山(海遊館となり)会期: 2015年7月18日(土)~2015年9月27日(日)『NARUTO-ナルト-』(C)岸本斉史 スコット/集英社