慶應義塾大学大学院政策メディア研究科で特別招聘教授を務める夏野剛氏は3月11日、第6回国際自動車通信技術展(ATTT)の基調講演に登壇し、「今のクルマは尖っているアプリとかに負けちゃっているのではないか」との考えを示した。夏野氏は「だんだんクルマは、単に移動手段に限定したものはとにかく安かろう悪かろう、コストパフォーマンスで勝負するというものと、それ以外の世界は趣味趣向がもっと強くなっていく」と述べ、コストパフォーマンスを追求するコモディティ化と趣味化という分化が進むとの見通しを披露。一方で「クルマを買ってドライブに行くか、家でスマホでソーシャルゲームをやった方が良いかとなった時に、それは間違いなくソーシャルゲームの方が面白い。それを上回る面白さをクルマが提供できるかどうかということになるが、その魅力で負けている感じがする」とも指摘した。その上で「負けている理由はたくさんあるが、やはり新しいものや尖がったものよりは、安全で安心で、コストパフォーマンスが良くて燃費が良いクルマというのに行き過ぎてしまっているので、尖っているアプリに負けちゃっているのではないか。だからエンターテイメント性や楽しさを設けるとかを、趣味性の高いクルマには入れていかないと難しいと思う」と述べた。