手塚治虫の名作マンガ『鉄腕アトム』のワールドワイドな実写映画企画が進められることになった。オーストラリア・シドニーとロサンゼルスに拠点を持つデジタルスタジオのアニマル・ロジック・エンタテインメント(Animal Logic Entertainment)は、『鉄腕アトム』をベースにした実写長編映画の企画開発にあたり、日本の手塚プロダクションとパートナーシップを契約したことを発表した。同日、手塚プロダクションも同社と契約を結んだことを明らかにしている。今回の企画は「大人も楽しめる本格的な スーパーヒーロー映画を目指す」としている。『鉄腕アトム』は手塚治虫が子どもの姿をした人型ロボット、アトムの活躍を1951年からマンガとして描きはじめた。ヒューマンドラマも交えながらのSF的な未来世界が大人気を博した。手塚治虫が設立した虫プロが1963年からテレビアニメシリーズを3年にわたり放送したのをはじめ、たびたび映像化されている。2009年には香港のIMAGIが製作した『ATOM』が世界公開されたほか、近年はナイジェリアでも現地向けのテレビシリーズが制作された。こうした映像作品を通じて、『鉄腕アトム』は世界に広く知られている。アニマル・ロジックは原作の魅力と知名度の高さに目をつけたかたちだ。しかし、今回の特徴は、実写での映画化を目指している点である。『鉄腕アトム』は国内で1959年から1960年にかけて実写ドラマになったことがあるが、それ以来で50年以上実写作品は途絶えている。現代の映像技術で実写アトムが登場すれば、大きな話題を呼ぶに違いない。アニマル・ロジック・エンタテインメントはアニマル・ロジックのグループ会社で、長編映画の開発担当部門として新設されたばかりだ。アニマル・ロジックは1991年にデジタルコンテンツのプロダクションとして設立された。この分野で世界を代表する存在だ。アニメーション部門では『ハッピーフィート』『LEGOムービー』、実写VFX部門では『300』や『レジェンド・オブ・ギャラクシー』などの代表作がある。今回の企画・製作にあたってはアニマル・ロジック・エンタテインメントのZareh Nalbandianがプロデューサーを務める。またJason Lustがエグゼクティブ・プロデューサーとなる。またプロデュース会社のレンジャー7 フィルムズ(RANGER 7 FILMS)からもMike CallaghanとReuben Liberがプロデュースに参加する。映画の企画開発が始まったばかりであり、実際に実写版『鉄腕アトム』がいつ誕生するかは未知数だ。一方で手塚治虫の作品では『鉄腕アトム 地上最大のロボット編』を浦沢直樹が翻案した『PLUTO』も、海外で実写CG映画企画の契約が2010年に結ばれている。こちらは『怪盗グルー』で知られるイルミネーション・エンターテインメントが製作することになっている。ふたつのアトムがスクリーンに登場することになるのか、併せて今後の行方を注目したいところだ。アニマル・ロジック(Animal Logic) http://www.animallogic.com写真:プロデューサーのZareh Nalbandian氏Photo by Frederick M. Brown/Getty Images[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.biz より転載記事]