東京大学物性研究所(徳永将史 准教授らの研究グループ)、産業技術総合研究所、福岡大学、上智大学、青山学院大学は13日、未来の磁気メモリ材料開発につながる、新たな電気分極成分を発見したことを発表した。 現在、コンピュータメモリの密度を飛躍的に高める物質として、原子レベルでメモリとして機能する物質が期待されている。磁性と強誘電性が共存する物質のほとんどは、マイナス200度以下の温度でしかその特性を示さず、実用化に向けた大きな障壁となっているが、「ビスマスフェライト」は、室温で磁性と強誘電性が共存可能な物質だ。 今回、研究グループの実験により、ビスマスフェライトでこれまで知られていなかった、新たな方向の電気分極を発見された。この電気分極は磁場によって制御でき、磁場を除いた後でも変化後の状態を保持し続けるという。また室温でも観測されているため、消費電力が少なく磁石を近づけても情報が消えない磁気メモリ材料といった応用技術の発展につながると期待されるとのこと。 またこの物質では、電気分極の方向が3つあるため、それぞれの状態を使うと、これまでの0と1の2値メモリではなく、3値のメモリを作ることができ、より高密度の情報記録にも応用できる可能性があるという。 今後は、実際のメモリとして活用を目指し研究を発展させる予定。