「au VoLTE」の発表会終了後に実施された質疑応答や、田中社長が対応した囲み取材の場で、今回のサービスやこれからの戦略に関する詳細が明らかになった。 以下にQ&Aの内容としてまとめてご紹介する。――au VoLTE対応機は音声通話はVoLTEオンリーなのか。今後の端末は3G通話には完全に非対応になるのか。田中氏:日本ではVoLTEオンリー。とはいえ海外では3Gローミングにも対応する。今後は順次、VoLTEの対応機種を増やしていきながら、徐々に3Gをauのネットワークからなくしていきたいと考えている。とはいえ、既存のユーザーもいるので強制的に引きあげることはしないつもりだが。一番最後はM2Mで使っている車載用3G。全体的に絞りながら、2020年に終息させたい。――LTEの維持率99.9%は体感でどうか。田中氏:LTE以外のサインはほとんど見ない。色々なコールログを見ながら、3Gになっている場所は特定できる。現在もそこの調整を進めている。――固定電話につないでも品質は保てるのか。田中氏:元来固定電話は品質がそこそこ良かった。携帯電話は圧縮するので音が悪い。VoLTEは帯域を広げるので固定よりも音が良くなるから、固定電話との通話は固定側の品質に引っ張られてしまう。交換接続のところでも音質はまた下がる。ところがVoLTEどうしだと高品位のまま。家族でauという人にもそのメリットが訴求できると思っている。――VoLTEオンリーにした理由は。田中氏:相手が3Gだと通話の音声品質が悪くなる。LTEのエリアを広げるという方針でやってきて、VoLTEになってその効果が表れるだろうから、積極的に切り替えていきたい。――キャリア間の接続は。田中氏:世界的にこれから様子見だろう。ドコモのVoLTEにつなぐ際にもいったん旧来の音質に戻すので、片側で音質の低下が起こる。いずれは全体がVoLTEになると思う。――Xperia Z3やGALAXY Note Edgeはファームウェア更新でau VoLTEに対応できないのか。iPhoneはどうなる。田中氏:au VoLTEに対応できるのは今日発表のモデル以降。もともと12月のサービスインを予定して、isai VLとURBANOと開発のタイミングを合わせてきたことが理由。iPhoneについては相手もある話なので、いつかはできるのではないかと思っているが、具体的な話は今日この場ではできない。――シンクロ・コミュニケーションの機能はiPhoneでつかえるのか。田中氏:インプリメントの細かいところが検討が必要なので、当面はAndroidの機種に限って提供していく。――シンクロ機能は法人利用としてどう訴求していく。田中氏:法人ユーザーの場合はボイスパーティーを通話会議などで利用できるだろう。カメラシンクなども利用価値があるはず。――VoLTEのMVNO提供は予定しているのか。田中氏:これから検討していく。――フィーチャーフォンはVoLTEするのか。田中氏:今後の課題。3Gは段々と減らすので、フィーチャーフォンでもVoLTEを提供していく方向になるだろう。順次端末を出していく予定だ。――VoLTEの料金体系はどうなる。田中氏:現在の4G利用の料金と全く同じ。課金システムも同様だ。――以前はVoLTEを始めれば料金も抑えられるという発言もされていたが、今回新しい発表がなかったのはなぜか。田中氏:確かにそんなことも言っていたように思う。ここは問い詰められるポイントだから今日は言わないでおこうと思う。――2機種の店頭想定価格はどなる。iPhoneとの差別化、売り分け方について戦略は。田中氏:端末の値段は最終決定していないので少し待って欲しい。iPhoneとAndroidのどちらを買うかについては、基本的にお客様が選択することだが、何となくAndroidが増えてきた実感もある。付加価値を付けて、できるだけ差別化していく。同質化の中で新しいスマホの使い方、機能だけでなくVoLTEやau WALLET、サポートも含めてトータルでお客様に魅力を提案していきたい。――年末予定のFirefox OS端末はVoLTEに対応しているか。田中氏:していないと思う。――以前はデータ通信の容量をユーザーに意識させながら、利用しすぎないよう呼びかけることもしてきたが、今回の発表内容からも、もう大丈夫というステージに到達したのか。田中氏:ネットワークの拡張計画と実際の端末の進化がようやく同期してきたということ。とはいえトラフィック量は予想を超えるスピードで増えている。上手くいけば3.5Gbpsの高い周波数も出てくるので、そういうところに散らせるとは思う。大丈夫かと聞かれたら「当面は大丈夫」という答えになる。――iPhone 6の初動はどうか。店頭調査だとソフトバンクも好調なようだが。田中氏:おかげさまでauも良い。ソフトバンクさんは既存ユーザーの数が多いので、それを考慮すれば当社はよく売っていると思う。――MNPが好調な理由は。田中氏:何となくネットワーク品質だろうか。キャリアアグリゲーションも受けている。その次がスマートバリュー。――ドコモがiPhone 6の下取り価格を倍にして仕掛けてきたが、ドコモは脅威か。田中氏:ドコモさんがそれをやるとは思わなかった。auは既存ユーザーだけでスタートしたが、今後できるならやろうかと考えている。我々のユーザーは引き続き使っていただいている率が高い。結果として入ってくる人も多ければよい。――SIMロック解除についてはどうか。田中氏:今回の端末はどちらもロックしている。最近の議論では解除の方向感が出ているが、具体的には決まっていないので、まだどうなるかわからない。少し時間がかかるだろう。――海外でアップルSIMが話題になっているが、日本で導入する可能性はないのか。田中氏:複数キャリアを切り替えて使えるというサービスだが、現時点で対応する予定はない。今後についてもわからない。――700MHz帯はどう活用する。田中氏:もう一つのプラチナバンドだが、具体的な計画はまだこれから。――年末商戦の意気込みは田中氏:iPhoneも新しいし、iPadの新製品やVoLTEもある。頑張って勝ち抜いて好調をキープしたい。