ケーブルテレビ・アワード2012のベストプラクティス大賞のグランプリは、東京ケーブルネットワークの「『TCNタッチコン』事業化に向けた実証実験」が受賞した。 「TCNタッチコン」は、ケーブルテレビチューナーのリモコン機能などを組み合わせたAndroid端末で、東京ケーブルネットワークが販売を計画して実証実験を行っていたものだ。チャンネル選局だけでなくチラシ配信などの買物支援や健康に関する情報提供、行政や町会からのお知らせの受信といったサービス展開となっている。なお、同事業は7月1日より正式に商用サービスとしてスタートしている。 受賞のコメントと「TCNタッチコン」について、同社の事業企画室 室長 井坪智司氏に話を聞いた。――ベストプラクティス大賞グランプリ受賞おめでとうございます。まずは受賞にあたっての感想をお願いできますか。井坪氏:なぜケーブル局がAndroid端末やアプリを作って販売するのか、といったところで社内でも疑問や否定的な意見があった中、グランプリとして認めてもらったことがとても光栄です。200台の端末で実証実験を行なったのですが、やはり実験することでわかったことがかなりありました。7月1日から実際の販売をスタートしたところで、今回の受賞は、現場営業マンや開発者へのエールになります。――実験でわかったこととはどんなことですか。井坪氏:実験では、5分間操作がないと自動的にデジタルサイネージとなり、お知らせする情報が流れるようにしていました。ここに地域情報や広告を挿入し、20秒ごとに切り替わるようにしたのですが、そういった情報の到達率が約40~50%にも達しました。コミュニティチャンネルですと、チャンネルを合わせて初めて情報を取得できるのですが、それだと中々情報が届きません。休日診療情報など地域情報が役に立ったり、イベントの情報を見た方が実際にそのイベントへ足を運んだりといったこともありました。そういったところを活かしていけば、さらに地域に密着していくことができると思います。 また、Wi-Fiルータ経由でインターネットに繋がっているので、番組を見ながらの検索やネットアクセスが簡単になり自宅でPCを使う頻度が減ったという話もあります。特に主婦層にそのような傾向が高く、好評でした。またリモコンとして利用する際に、例えばチャンネル番号ではなく、「時代劇専門チャンネル」といった名前で選択できることが便利だという声も届いています。――実験の手ごたえは十分のようですね。今後の展開はどのように考えていますか。井坪氏:実証実験は1年ほどで終了し、7月1日から製品の販売を始めています。今後は、「TCNタッチコン」をマルチスクリーン、セカンドスクリーンとしての利用へ広げたいと思っています。テレビのマルチスクリーン化もありますが、やはりテレビはテレビで大きい画面でみたいというニーズがあります。そうした時に「TCNタッチコン」のような手元の画面が有効だと思います。そのためにはDLNA対応で番組視聴もできるようにしたいですね。また、ネット接続の契約があればWi-Fi経由でインターネット接続できますし、弊社は地域WiMAX接続も提供しています。こちらのサービスとセットで、ネット契約がない家庭にも工事不要で展開していくプランもあります。リビングのリモコンとして入っていって、実はインターネットをやっていた、というかたちで、これまでインターネットを使っていなかったようなところでも市場開拓ができればと考えています。
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