ジェットエンジン付き背負い式ウイングで空を飛ぶ「ジェットマン」ことイブ・ロッシーが、アジアで初めての飛行をなし遂げた。 アジア初飛行の背景は、日本の象徴、世界遺産にもなった富士山だ。関係者が6日、明らかにした。 ロッシーが飛行に使うのは、カーボン・ケブラー製のジェットウィングで、4基のエンジンそれぞれが22kgの推進能力を持つ。ヘリコプターから空中へ飛び出し、ジェット飛行、最後はパラシュートで地上に降り立つ。 手にはスロットル制御のスイッチがあるが、その他の制御手段は自身の姿勢変化、つまり肩と胴体、脚だけを使って、ステアリング、ピッチ、降下を行なう。すでに世界各地の空を飛んでいるが、アジアでのフライトは初めてだ。 今回の富士山フライト計画では、静岡県富士宮市の「ふもとっぱら」キャンプ場をベースにして、10月28日~11月3日の間に延べ9回飛行した。最高飛行高度は地上から1万2000フィート=3600メートル、最低は2600フィート=800メートル(パラシュートを開く高度)。1回の飛行時間は約10分で、飛行距離は最長で約15km、速度は180~300km/h、平均で200km/hほどになる。 ロッシーがジェットマン・プロジェクトを始めたのは1993年だった。2008年にはイギリス海峡横断によってジェットマンとして最初の快挙を成し遂げた。以後、世界各地で飛んでおり、曲芸飛行や新旧の飛行機とのフォーメーション飛行などを行なっている。ロッシーは1959年生まれ、スイス国籍。戦闘機パイロットや民間航空機機長の経歴もある。 ロッシーは「私にとって、ここを飛ぶことは夢だった。エアラインのパイロットとしてコックピットの中で操縦するのと、自分の背中に翼だけを装着して自由に飛ぶのとは大きく違う。このようなチャンスを得た時の気持ちは言葉では言い表せない。一方で、次世代の若者に対して、何か違うことを、努力して不可能な目標を可能にする、そんなきっかけを提供できればいいと思っている」と語っている。
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