富士通と富士通研究所は10月17日、240GHz帯を使用した大容量ギガビット無線通信機に向けた、高感度受信ICチップを開発したことを発表した。 240GHz帯は、一般の携帯端末で扱う周波数(0.8~2GHz帯)に比べて電波を使用できる周波数幅が広い(100倍以上)、いわゆるミリ波(30GHz~300GHz)帯だ。ミリ波帯を用いた無線通信機は、通信速度を100倍に高めることが期待されているが、240GHzといったきわめて高い周波数になると、空間を伝搬する電波が大きく減衰するため、高い増幅率を持つ増幅器の実現が必要だった。 今回、富士通研究所が開発した技術をベースに、「発振現象を抑制しつつ増幅率を高める多段化技術」と「増幅器の出力信号を効率よく次段へ伝達する技術」を両社で開発した。これにより、従来に比べて受信ICの感度を約10倍改善でき、スマートフォンなどの携帯端末に搭載された小型のアンテナでも大容量のデータの受信が可能になる見込みだ。また従来に比べ比較的指向性の広いアンテナが利用できるため、送信機に対して端末の角度を厳密に合わせる必要がなく、利用者の使い勝手も向上するという。 今後は、今回開発した受信ICを実装するためのアンテナ一体型小型パッケージの開発を進め、2015年頃までに伝送実験を行い、2020年頃の実用化を目指す。
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