BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は9日、『大津いじめ事件報道に対する申立て』に関し、「静止画像にすれば氏名を判読できる映像を放送した点で、人権への適切な配慮を欠き、放送倫理上問題がある」との「見解」を記者会見において公表した。 この事案は、フジテレビが2012年7月5日と6日の『スーパーニュース』で、大津市の中学生いじめ事件の報道をした際に、加害者として民事訴訟を起こされている少年の氏名を含む映像を放送し、少年と少年の母親がプライバシーを侵害されたなどとして申し立てたもの。映像は、5日分が1秒未満、6日分が2秒弱と短く、通常のテレビ視聴形態では氏名は判読できないが、静止画像では判読可能で、この画像がインターネット上に流出した。 放送人権委員会は、流出そのものは著作権侵害のため、フジテレビの責任はないが、「録画機能の高度化やインターネット上に静止画像がアップロードされるといった新しいメディア状況を考慮したとき、静止画像にすれば氏名が判読できる映像を放送した点で、本件放送は人権への適切な配慮を欠き、放送倫理上問題がある」と判断。「この放送倫理上の問題は、モザイク処理のない映像素材を使ったミスの結果である」として、こうしたミスがふたたび起きないようにすることをフジテレビに要望する「見解」とした。 BPOの委員会決定は、より重い「勧告」と「見解」の5段階で構成されており、今回の「見解(放送倫理上問題あり)」は3段階めのものとなる。