愛知県豊橋市の牛川小学校で、タブレット端末を活用した世界自然遺産について学ぶ授業が行われた。これは小学生のための世界自然遺産プロジェクト「ユネスコキッズ」の一環として、ドコモと豊橋市が協力して実施するもの。その授業内容が報道陣に公開された。 授業はドコモが提供したタブレット端末を生徒1人が1台ずつ使い、ドコモの開発した世界自然遺産学習プログラムに沿って行われる。学年は4年生だ。今回の授業は日本に4つある世界自然遺産の中で知床を取り上げたが、先生は知床についてごく簡単な説明をしたあと、生徒に知床の自然のなかで好きな動物や植物を探すように指示。あとは見守るのみだ。 生徒はタブレットを操作して知床の自然を自分の思うように調べ、自分の好きな動物や植物を探す過程で、自然と知識を蓄えていく。授業が始まって驚いたのは、生徒が想像以上にタブレットの操作に熟達していることだ。実はドコモの提供したタブレットは用途を限定していないため、小学校側の裁量でユネスコキッズの授業以外にもすでに活用しているという。そのため生徒がタブレットを使った授業をするのは4~5回目とのことだが、担当の今泉有加教諭によれば、1回目から非常に習熟度が早く、殆どの生徒がすぐに操作を覚えてしまったという。 この日の授業では生徒がタブレットの操作につまずいた時に備えてドコモのスタッフも立ち会ったが、出番は殆どなかった。まるで何年も使ってきた手に馴染む道具のようにタブレット端末を使いこなす小学生の姿には、やはり驚きを感じずに入られなかった。 所定の時間が過ぎると先生が指名した生徒が教室の前に出て、自分が最も気に入った知床の動物や植物を紹介する。教室の前には生徒が使っているのと同じタブレットが大型のディスプレイに接続されており、生徒はそのタブレットを操作して自分の気に入ったページを表示し、説明する。まるで企業内でのプレゼンのようだが、タブレットの操作に手間取る生徒は1人もいなかった。 授業の最後には、知床の自然を体感するために、本物の知床の熊(の毛皮をかぶった先生)が登場。熊の大きさや毛皮の触り心地を生徒に実感させたが、これには生徒も大喜び。ユネスコキッズは本物の自然に触れる機会を生徒に与え、自然を好きになってもらうことを主眼としている。そのためこのようなリアルな教材が用意されたのだが、事前にタブレット端末による学習があったからこそ、生徒の反応が大きかったのは明らか。タブレット端末による分かりやすい教材と熊の毛皮というリアルな教材が巧に組み合わされた授業だった。