日本電信電話(NTT)と東北大学は18日、ドイツのポール・ドルーデ固体エレクトロニクス研究所と連携し、「移動スピン共鳴(Mobile Spin Resonance)」と名付けた新現象を発見したことを発表した。 今回発見された「移動スピン共鳴」を用いて、半導体内で電子の移動する経路を適切に制御することで、外部から磁場をいっさい加えずに「電子スピン」の向きを任意方向に変えることに世界で初めて成功した。この新現象は、電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance)に外部磁場が必要、という基本原理を覆すものだという。 半導体中の電子は「電荷」と「スピン」の2つの性質を持っているが、従来の半導体デバイスでは電気的に制御しやすい「電荷」の性質のみしか利用されていなかった。しかし近年、量子力学によって説明される「スピン」の性質を活用し、超高速演算が可能となる「量子コンピュータ」に応用しようとする研究が世界中で進められている。 今回の発見により、シンプルな素子構造で効率的に量子情報を操作することが可能となるため、「量子コンピュータ」の新しい要素技術として応用が期待されるとのこと。