産業技術総合研究所の電子光技術研究部門は、スマートデバイスで無線操作できる超小型バイオセンシングシステムを開発したことを発表した。 この超小型バイオセンシングシステムは、「光学計測器(スペクトロメーター)」と「操作端末(スマートデバイス)」と「バイオセンサーチップ」で構成され、各種疾病や感染症の早期・迅速診断を実現するために、タンパク質やホルモンなどの生体物質の検出に応用できる機器だ。従来のテーブルトップサイズの機器と異なり、どこへでも簡単に持ち運びできるという。 産総研は、2009年よりカネカと共同研究をスタート。ポイントオブケア検査(POCT:Point of Care Testing)用バイオセンサーの共同開発を進めてきたが、産総研がもつ特殊な光応答性高分子材料の薄膜に、水を介在させながら青色LED光を数分間照射した後、水を除去するというきわめて単純な方法によって、低コストで高効率に、独自のサブ波長構造(フジツボ構造)を作製できることを発見した。この構造を活用することで、従来システムを大幅に革新し、手のひらサイズの光計測器を実現した。 今後、臨床現場でのPOCTや小規模医療施設におけるスクリーニングテスト、さらには、在宅での日常的な健康管理への応用が期待されるとのこと。