独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は24日、地上波テレビジョン放送周波数帯(470MHz~710MHz)において、ホワイトスペースを利用した通信の実証実験に成功したことを発表した。 NICTでは、既存無線局(一次利用者)と周波数の二次利用者との間の干渉レベルを自動計算し、二次利用が可能な周波数の情報を提供する「ホワイトスペースデータベース」と、そのデータベースに問い合わせた周波数に設定変更してブロードバンド通信を行う「無線基地局」と「端末」を開発した。さらに、それらのホワイトスペースデータベースと無線基地局・端末を統合し、地上波テレビジョン放送周波数帯(470MHz~710MHz)において、一次利用者に影響を与えない周波数を自動的に選択して無線通信を開始できることを実証実験により確認したとしている。 このシステムでは、無線機がホワイトスペースをインターネット上に設置されたホワイトスペースデータベースに問い合わせ、その結果に基づいて運用周波数を設定し、通信を開始する。本技術が実用化されれば、通信の混雑や電波干渉により、十分な通信速度が得られない無線システムのトラフィックをホワイトスペースにオフロード(負荷分散)できることとなる。 NICTでは、日本の地形や利用形態の特徴に基づき、ホワイトスペースを算出する方式を検討しており、今後、その提案方式の性能を評価していく。また、開発した技術が広く実用化されるように、国際標準化活動を行うとともに、無線機の小型化・省電力化を検討し、技術移転を積極的に進めていくとしている。