オランダの電波天文学研究機関ASTRONとIBMは2日、国際的プロジェクト「Square Kilometre Array(SKA:スクエア・キロメートル・アレー)」向けに、極めて高速でありながら低消費電力のエクサスケール・コンピューター・システムの共同研究を行うことを発表した。 SKAは、“世界最大の最も高感度の電波望遠鏡を建設する”という国際的プロジェクト。今回その一環としてオランダとスイスにいるASTRONとIBMの科学者は、「DOME」と名づけられた共同プロジェクトを立ち上げた。3億2900万ユーロを当初予算として投入、5年にわたり、世界最大となる電波望遠鏡に必要なシステムの研究を行うとしている。 両者は、オランダのドレンテに新しく設立された「ASTRON & IBM Center for Exascale Technology」を拠点に、よりエネルギー効率のいいコンピューティングを実現するため、先進的なアクセラレータや3D積層チップの研究が行われる。大量データ転送や次世代テープ・システムや相変化メモリー技術にもとづく高性能ストレージ・システムを最適化する光インターコネクト技術やナノフォトニクスの研究も行われる。望遠鏡全体では2024年に完成の予定だ。 このシステムでは、インターネット上の1日あたりの全アクセス量の2倍に匹敵する、1日あたり1エクサバイトの生データを読み込み、分析、蓄積することを目標にしている。そのため科学者たちは、この望遠鏡の運用には、今日の最速のコンピューター数百万台に匹敵する処理能力が必要になると予測しているという。 ASTRONは、この国際的なコンソーシアムの主要な科学パートナーの一員としてSKAの開発に携わっている。この望遠鏡は、銀河の進化、暗黒物質、また130億年を超える昔にさかのぼる宇宙の起源に関する研究に活用されるとのこと。