「中部から、スマートフォンとITSの連携する新事業領域の創出に向けてコンソーシアム立ち上げの構想を宣言する」という趣旨で、スマートフォンITSコンソーシアム立ち上げについてのセミナーが22日、名古屋市中区栄にあるSMBCパーク栄で開催された。中部経済産業局補助事業である「スマートフォンITSによる次世代自動車向けサービス創出事業」に呼応したもので、IICが主催。関心は高く、60名の定員に対して、サプライヤーなど100名近い参加者があった。「スマートフォンと自動車が連携するアプリケーションの創出と、流通構造の創出を考える」がテーマとなる。中部経済産業局地域経済部次長山田良明氏の挨拶のあと、愛知県立大学小栗宏次教授が、学の立場からみたスマートフォンITSと題して講演。中部地区の多くの大学でITS研究が盛んであることを紹介し、それぞれ特色を持った研究成果を持ちながらも連携、融合しておらず、アライアンスが必要であると説いた。また大学ではトヨタ自動車OBなど年配の研究者が多く、スマートフォンを使いこなす若い研究者育成の必要性が強調された。次に登壇したインターネットITS協議会の都築清士氏が、第18回ITS世界会議の最注目テーマがスマートフォン連携であったことを報告。また都市交通系の社会実験、実用実験用のシステム開発と運用を行うトランスフィールド技術開発部長の内田真一氏は、スマートフォンがモバイルアプリをオープン化させるとしても、システム開発者としては、車両情報を皆で利用できるインフラ構築が必要と説いた。その後、名古屋モーターショーで「あいちITSワールド」が開催され、そこでスマートフォンITSの展示があることを、ショー主催者の中部経済新聞事業局中島英程氏が紹介。そして最後にスマートフォンITSコンソーシアム設立に関してIIC代表取締役の時津直樹氏が講演した。時津氏は「カーナビは便利なスマートフォンに置き換わっていく可能性が高いが、車載と考えるとスマートフォンの操作性、安全性などには課題が多い。しかし今後クルマの情報機器の主流となっていくことは間違いない。それには様々な車両情報をスマートフォンサービスと連携させる事が必要で、スマートフォンITSコンソーシアムではスマートフォンITSプラットフォームを整備し、共通車載器を開発して会員に提供する。また、認証アプリストアを開設して、車両情報を加えて開発された安全安心な車載アプリを提供(販売)する仕組みを用意する。来年4月の立ち上げには多くの産官学に参加してもらいたい」と話した。メーカーごとに違う車両情報の吸い上げという現在最も大きな課題を、共通の車載器を作るという方法で解決し、それによって開発された車載用の安心安全なアプリを、ストアを作って供給しようというのがスマートフォンITSコンソーシアム(SITSC)の構想。うまく進めば、この分野で日本は世界に先行することもできるはず。SITSCのデモは12月3日からの東京モーターショー、そして22日からの名古屋モーターショーで行われる予定だ。
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