Risks for Virtualized Environments(仮想環境のリスク)では、仮想環境特有のリスクについて解説されています。仮想環境におけるPCI DSS対応は、大原則は非仮想環境と同様という旨は先述の通りですが、その大原則の上で、仮想環境特有のリスクを追加で検討する必要があるという意味で、本文書の最も重要なパートであるといえるでしょう。
3.2 新たな攻撃の側面を作り出すハイパーバイザー 仮想環境特有のリスクのうち最も重要な箇所は、ハイパーバイザーである。なぜなら、ハイパーバイザーが侵害を受ける、もしくは適切に設定されていない場合、その上で稼働する全ての仮想マシンはリスクにさらされているということになるからである。このように、当該環境が侵害されることで全体がリスクにさらされてしまうような箇所は単一障害点(Single Point of Failure, SPOF)と呼ばれる。どんなに仮想マシンを安全に設定、運用していても、ハイパーバイザーが適切に設定、運用されなければリスクは上書きされてしまうことになる。