青森県で進行中の「六ヶ所村スマートグリッド実証実験」で、トヨタはスマートフォンを活用した新しい車載情報システムにも挑戦している。それがオンデマンド車載ディスプレイとスマートフォンとの連携だ。これは車両に設置されたディスプレイをあくまでモニターに徹したものとさせ、スマートフォンを情報の発信源とするものだ。カーナビゲーション情報や「トヨタスマートセンター」から送られてくる情報はスマートフォンがキャッチ。その情報を車載ディスプレイに渡し、表示させるという仕組みだ。こうすることで、トヨタスマートセンターとクルマとの連携も簡単になり、さらに高額なカーナビゲーション購入費用が不必要になる。さらに利用者がそれぞれ個人のスマートフォンを持ち込めば、より使い勝手を向上させることも可能となる。スマートフォンと車載モニターの連携は、2010年10月のトヨタスマートセンター発表時にその存在が明らかになっていたが、連携するナビゲーションアプリとして「全力案内」(ユビークリンク)、「いつもNAVI」(ゼンリンデータコム)に加えて「NAVIelite」(アイシンAW)がリストに追加された。NAVIeliteは現状ではiPhone向けしか提供されておらず、Android端末としては初のお披露目となる。「現在はスピードの時代です。トヨタはクルマには強いのですが、別の分野は別。その分野に強い会社とアライアンスをすることで、サービスの実現をスピードアップできます」と語るのはe-TOYOTA部システム部テレマ開発2グループ長・森健司氏。もちろん、アプリ側にもトヨタと連携できるように小改良を施したという。それでも、トヨタが一から開発するのに比べて何倍もの時間とコストを圧縮することに成功した。また、こうした連携のノウハウを確立すれば、グローバルへの拡大も可能だ。日本でなら日本のナビ・アプリを使い、海外では現地のアプリを選べば良いというわけだ。しかし、一方で「スマートフォンはまだまだ進化の途中です。ですから、どういう形になるのかが見えてきません。実際に実用化するときは、しっかりとサービスを固めてから世に出したいと考えています」と森氏。逆に言えば、スマートフォンが一定のところまでくれば、一気に実用化される可能性は高い。スマートフォンがクルマと自宅をつなぐ、まさにカギとなるかもしれない。
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