台湾・台北市で開催中のコンピューター関連製品の総合展示会「COMPUTEX TAIPEI」の開催前日、米Qualcommは同会場近くに設けたプライベートブースでプレスカンファレンスを開催し、組み込み機器向けCPU「Snapdragon」の最新状況や、今月買収を完了したAtheros Communicationsの事業などについて説明を行った。 既にスマートフォン端末では多数の採用例があり、大きなシェアを獲得しているSnapdragonだが、デュアルコア版に関しては5月の「HTC Sensation」発売によってようやくエンドユーザーの手に渡った形で、昨年既に搭載製品が発売されているNVIDIAの「Tegra 2」に比べ遅れを取った。 しかし、同社でプロダクトマネジメントを統括するLuis Pineda氏は、デュアルコア版を含め、Snapdragon搭載製品は現在250機種が開発中であり、今後市場での存在感は急速に高まるとアピール。特に動作OSの幅広さではアドバンテージがあり、AndroidだけでなくBlackBerry、webOS、Windows Phoneなど幅広い実績があるほか、マイクロソフトが次期Windows(デスクトップ版)でARMアーキテクチャをサポートする意向を示しており、Snapdragonの適用範囲が大きく拡大することを強調した。 加えて、これまでの“Scorpion”コアに代わって新開発の“Krait”コアを搭載し、LTEのベースバンド処理機能も統合した次世代のSnapdragon「MSM8960」は、当初アナウンスしていた予定通り6月にサンプル出荷を開始することが表明された。 また、同社は今年1月に無線LANチップベンダーとして知られるAtheros Communicationsの買収を発表し、5月に手続きを完了している。従来Qualcommが事業の中心としてきた携帯電話ネットワークに加え、今後は家庭の中で機器を相互にワイレヤスで接続することの重要性が高まると判断し、同社としては過去最大の31億ドルという巨額のM&Aに至った。Atherosでは無線LANの技術を中核としながらもBluetoothやGPS、PLCやFTTHにも製品の領域を拡大しており、同社を傘下としたQualcommは、今後はスマートフォンやタブレットをはじめ、家庭内のさまざまな情報機器で必要となる通信系のチップを1社で提供できることを強みとした成長戦略を描いている。
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