猫たちが多く住む仁斗田(にとだ)付近の港は岸壁自体が地盤沈下したのか、一部が水に没した状態となっていた。普段の船着場は使うことができず、ちょっと離れた場所に着け、そこから客の乗降や荷降ろしを行っていた。漁師が集う番屋や、牡蠣の殻むき作業を行う小屋は津波の被害で倒壊。周辺にはどこからか流れ着いた材木なども散乱している。近くで片付けの作業を行っていた漁師の方に話を聞いてみた。「地震当日の揺れはすごかったけど、島にある建物の被害は全部津波。地震から20分ぐらいだったか、船をどうしようか思案していたら今までに見たこともない、壁のような高さの津波が来た」「あっという間に流されてしまい、もうダメかと思ったら、番屋の横に立つ電柱にうまく引っかかった。水面から出ていた一番上の部分につかまり、電線に足を掛けて耐えた。水の勢いが少し弱まったとき、崖まで泳いでそこを登った」番屋の横に立つ電柱を眺めるとかなりの高さがある。到達した津波の高さは10mから12mにも達した。