1日~3日まで開催されている組込み系技術の総合技術展「Embedded Technology 2010」(ET 2010)その中でマイクロソフトは、同社の組込み機器向けの専用OSであるWindows Embedded製品群などを展示している。今回、マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティング マネージャー 松岡正人氏に話を聞くことができた。まず、現状のWindows Embeddedファミリーのラインアップと直近のロードマップについて聞いた。 まずこれまでの経緯のおさらいだが、10月に、コードネームMotegiとして呼ばれていたOSが「Windows Embedded Automotive 7」(以下、Automotive 7)として正式にリリースされた。Automotive 7は、それまでソリューションカテゴリが分離していた、Windows AutomotiveとMicrosoft Autoを統合したものだ。これによって、いわゆるカーナビに代表されるナビゲーション端末向けの組込みソリューションと、車内エンターテインメント(Ford Syncなどが有名)や車載情報端末向けの組込みソリューションが統合されたことになる。 この方向性は、今後、カーナビがPNDやスマートフォン、ITS端末としての機能を取り込んだり、それらの端末が融合してくることを考えると、ベンダーはグローバルな製品をより展開しやすくなるという意味で、自然な流れともいえる。 マイクロソフトはAutomotive 7やWindows Embedded Handheld、次にリリースが予定されているWindows Embedded Compact 7(以下、Compact 7)の展開をどのように考えているのだろうか。■Comact 7は、CTPでありながらBSPも供給 Automotive 7、Windows Phone 7は予定どおりリリースされたが、Compact 7についてはスケジュールが若干遅れている。松岡氏によれば、本来であればCompact 7は、この四半期にリリースされる予定だった。リリースの延期はクライアント企業のニーズの変化に一因があるという。 最近の企業は開発スピードを重視するため、ベータ版のうちから自社の製品やプラットフォームに合わせるための共同開発的なアプローチをとるより、すぐに使える環境を提供してくれるほうがうれしいというのだ。そのため、マイクロソフトでは、CTP、製品版への流れを確実なものとするため、Compact 7ではEmbedded系OSとして初めて汎用OSのようにCTPのリリースがスケジュール化された。これらの事情がありつつ、十分なクオリティを確保するため、総合的な判断でスケジュールを遅らせたという背景がある。 しかし、そうはいっても、ボードメーカー、半導体メーカーとの連携体制は続いており、CTP版でありながら、Compact 7用のBSP(Board Support Package)は充実しているそうだ。Atmark Techno、横河ディジタル・コンピュータ、サムシングプレシャス、ソフィアシステムズなど複数のベンダーがCompact 7(CTP版)のBSPの配布を開始していたり、発表を行っている。現状でも開発環境は着実に増えており、パートナー企業へのサポートはよい状態にあるという。ちなみにAtmark Technoは、Android、Linuxのボード開発で有名な企業である。■Handheldでは、当面App Storeのようなしくみは導入しない 次にWindows Embedded Handheld(以下、Handheld)についての戦略はどうだろうか。北米ではWindows Phone 7(日本発売は未定)がリリースされているが、マイクロソフトが発表済みのロードマップにモバイル端末用のHandheldという名前もある。Motegiのときのように、Windows MobileとHandheldの統合はあるのだろうか。 松岡氏によれば、HandheldはWindows Mobile 6.5の系譜のOSといえるものだが、Compact 7ベースで構築されるという。しかし、それによって、既存のWindows Mobileのアプリケーション資産が無駄になることはないそうだ。当然、過去のソフトウェア資産を活かすような互換性を確保することになるので、国内でWindows Mobileを採用して携帯電話端末などを作っているベンダーも、Handheldへの移行が容易なはずだ。また、グローバルな携帯電話市場や、3Gから4Gへの転換を考えると、特定の端末メーカーや通信キャリアに依存しないオープンなプラットフォームとなるだろうとも述べた。 ただし、スマートフォンのコンシューマ市場においては、アップルの先行を許している状態なので、この市場ではフォロアーの戦略をとらざるを得ないという。結果として、マイクロソフトとしてのモバイル端末市場の戦略は、コンシューマとビジネスユースを切り分けたものとなるようだ。Handheldのリリース当初は、ビジネスユースを意識した機能や実装が優先されるだろう。 例えば、Handheldでは、ビジネスユースにおけるセキュリティ面を考慮し、アプリケーションを自由に開発してそれをインストールできるような仕組みは採用しない。パートナー企業からもこのような要望があがっているという。ちなみにここでいう、ビジネスユースのモバイル端末とは、例えば、流通業界で利用されている業務端末やビジネス専用携帯などを指す。 しかし、世間一般のニーズとして、ソーシャルアプリやApp Storeのようなビジネスプラットフォームへの関心は高いといえる。Handheldで、そのようなAPIの公開はないのだろうか。これに対して、松岡氏は「App Storeのようなしくみでアプリケーションを開発、インストールできる環境は、いまのところ考えていませんが、もちろんこれはパートナー企業やエンドユーザーのリクエスト次第です」と述べている。■Automotive 7の機能を活かした事例 Automotive 7によって、AutomotiveとMicrosft Autoが統合されたわけだが、実際にカーナビ(Automotive)と車載情報機器(Microsoft Auto)を融合したような製品の開発プランや事例などはどこまで進んでいるのかを聞いた。 「日本は地図と道案内の機能からカーナビが発達しましたが、欧米ではITSやエンターテインメントといったニーズから車内情報機器が開発されています。例えば北米では、自動車の中で、メールチェックやインターネットをするだけでなく、テレカンファレンスを行うといったビジネスマンもいます。Automotive 7ではこういった機能を持つカーナビの開発がしやすくなるはずです」と松岡氏はいう。実際にカーナビと車載情報端末を合体させたような事例は、国内メーカーでも動きがあるか尋ねてみたところ、日本のメーカーでも北米市場向けの製品ではあるとの事だ。 また最近ではベンダーのニーズが「機能」から「サービス」に移ってきているという。サービス指向の製品開発で重要となるのが、UIやアプリケーションを含むコンテンツとなるが、Windows Embeddedファミリーによる様々な製品開発は、UIやサービス開発といった面でアドバンテージがあるそうだ。Windows系の既存アプリの活用や開発者人口の多さが、開発効率のアップにつながるからだ。 UIやリッチコンテンツの開発では、例えば、Silverlightコンテンツのデザイナーが、Expressionで作成したコンテンツを組込み機器に展開するのも、Windows Embeddedなら容易に実現できる。リッチ化するデジタルサイネージなどで、その効果が発揮されるという。 そのデジタルサイネージについては、折しも「Embedded Technology 2010」で、マイクロソフトはインテルと共同で最新デジタルサイネージの展示を行っている。そのほか、Automotiveナビの最新モデルなどのデモ展示も行っている。
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