富士通研究所は13日、携帯電話でのワイヤレス給電や複数モバイル機器への同時給電を実現する、送受電デバイス解析・設計技術を開発したと発表した。2012年の実用化を目指す。同研究所では、開発した解析・設計技術を用いて小型で薄型の受電デバイスを設計し、ワイヤレス給電機能を内蔵した携帯電話を試作した。試作した携帯電話は、送電範囲内の自由な位置で給電でき、85%の高い給電効率を達成している。今後、プリント板とLSI間の電力送電や電気自動車への給電など幅広く適用を検討する予定だ。これまで、磁界共鳴方式の送受電デバイスの設計には、送受電デバイス間の共鳴現象に発生する複雑な影響を解析しなければならず設計するのに時間がかかっていた。モバイル機器など端末が小型になるほど解析は複雑となりワイヤレス給電を実用化するには、解析・設計技術が大きなボトルネックとなっている。今回開発した送受電デバイス解析・設計技術により、小型の送受電デバイスの高性能な設計が可能なほか、従来の150分の1の時間で送受電デバイスを設計できるようになった。開発に必要な時間を大幅に削減することができるほか、ワイヤレス給電機能を小型化して携帯電話に内蔵することや、複数のモバイル機器を同時に自由な位置で給電することも可能になるとしている。同技術の詳細は、14日から大阪府立大学(大阪府堺市)で開催される電子情報通信学会 2010年ソサイエティ大会にて発表される。