Sandgateシリーズは、2003年のSandgateから始まる製品だ。その後、Wi-Fiモジュールを内蔵したSandgateVP、W-SIMに対応したSandgateWPといった実機型の開発プラットフォームも発表されたのだが、これらは外観も携帯電話やPDAをイメージさせるハンディ端末型の形状をしていた。VPは、Wi-Fiを搭載したデュアル端末の開発を意識したプラットフォームであり、WPはウィルコムPHS対応のスマートフォンの開発を意識したものだ。このモデルはさらにSandgateIII-Pへ進化し、Wi-FiとW-SIMの両方のモジュールを搭載し、OSもWindows CE 6.0とLinuxをサポートしている。
プロセッサとしてはMarvellのPXA310を搭載し、対応するOSは現在のところWindows CE 6.0とLinux Kernel 2.6.xだ。ソフィア製品のユーザーなら扱い慣れているCPUとOSの組み合わせでリソースの有効活用が期待できる。最近ではARM系のプロセッサにAndroidという組み合わせの評価ボードが増えてきているが、VMの処理速度がネックとなって製品レベルのパフォーマンスを出しにくいという声もある。安定して実績のあるプラットフォームは、パフォーマンスチューニングやトータルコストの面でも有利になるだろう。
SandgateMIDのもうひとつの特徴は、198,000円という本体価格だ。BSP(Board Support Package:開発に必要なソフト、ドライバなどの入ったCD)は、LCDドライバ等簡易的なものが添付され、標準BSPは別売となるが、GPSやWi-Fiモジュールなど標準搭載であることを考えるとコストパフォーマンスは高いといえる。また、本体が低価格なため開発ボードを複数のエンジニアやプロジェクトで共有せず、並行開発もしやすくなる。デバッグ用ボードも同梱されているので、JTAGエミュレータなど手持ちのツールをそのまま繋ぐこともできるが、同社のエミュレータ、EJSCATTとのセット販売の設定もあるそうだ。