社団法人情報処理学会(IPSJ)は23日、「情報処理技術遺産」および「分散コンピュータ博物館」認定制度を開始した。 情報処理学会では我が国のコンピュータ発達史上の重要な成果や製品を「コンピュータ博物館」サイトに掲載、紹介している。約1000点の写真を含めてその史料点数は2000点を超えており、月に10万件前後のアクセスがあるが、それら貴重な史料の実物の大半はすでに存在しておりません。そこで、我が国のコンピュータ技術発達史上の重要な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品など、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ情報処理技術遺産の保存と活用を図るのを目的に、第1回目として23件の情報処理技術遺産と2件の分散コンピュータ博物館を認定したという。 認定された技術遺産および博物館は下記のとおり。いずれも偉大な“遺産”ばかりだが、とくに「国民機」とまで呼ばれたPC-9801は、現在のITの隆盛を支えている技術者なら、ほぼ全員が触ったことのあるマシン。こうして「技術遺産」として名前が入っているのは感慨深いという人も多いのではないだろうか。なお情報処理学会は3月2日、資料および施設の所有者を国立科学博物館に招いて、認定式も行う予定だ。■情報処理技術遺産(23件)・自働算盤:我が国初の機械式卓上計算機・川口式電気集計機および亀の子型穿孔機:我が国初の統計集計機・タイガー計算器No.59:初期の手回し式計算機・九元連立方程式求解機:アナログ式計算機械・ETL-Mark II:初期のリレー式大型計算機・FUJIC:我が国初の電子計算機・大阪大学真空管計算機:初期の真空管式電子計算機・パラメトロン素子:我が国で発明された演算素子・ETL Mark IVパッケージおよび磁気ドラム:我が国初のトランジスタ式実用計算機用の部品と記録装置・SENAC-1(NEAC-1102):大型パラメトロン計算機・FACOM128B:現在も動態展示されているリレー式コンピュータ・MARS-1:国鉄座席予約システム・MUSASINO-1B:パラメトロン計算機・OKITYPER-2000:多機能タイプライタ・NEAC-2203:全トランジスタ化計算機・HITAC 5020および関連部品:国産初の大型汎用コンピュータ・NEACシリーズ2200モデル50:全IC化小型汎用コンピュータ・H-8564:初期の磁気ディスク駆動装置・HITAC 10:我が国初のミニコンピュータ・TOSBAC-3400:マイクロプログラム方式の科学技術用コンピュータ・OKITAC-4300Cシステム:ミニコンピュータシステム・JW-10:初の日本語ワードプロセッサ・PC-9801:ベストセラーのパーソナルコンピュータ■分散コンピュータ博物館(2件)・京都コンピュータ学院KCG資料館・東京農工大学情報工学科西村コンピュータコレクション