マイクロソフトが開発を進めている「Windows Azure」は、相互運用性、実績のあるLiveサービス群やデータセンターの採用、開発のしやすさ、マルチデバイス対応などの特徴があるクラウドOSだ。マイクロソフトの開発者向けイベント「Microsoft tech・days Japan 2009」で27日に開催されたキーノート「マイクロソフトのクラウドコンピューティング戦略」では、「Windows Azure」の全貌が明かされた。
このキーノートは、2008年10月にロサンゼルスで開催されたマイクロソフトの開発者向けイベント「Microsoft Professional Developers Conference 2008」(PDC)を日本向けにアップデートした内容であった。
Windows Azureは、マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Azure Service Platform」の基盤となるOSだ。Azure Service Platformでは、「Live Services」「.NET Services」「SQL Services」「SharePoint Services」「Dynamic CRM Services」などのアプリケーションが動作し、開発者はHTTPやRESTなどのプロトコルによりこれらの機能が利用できる。
Azure Service Platformの商用サービスに先駆けて、先行導入や検討を行っている企業がある。JTBは、オンラインアルバム「Toripoto」を開設。クライアントにはSilverlightを採用し、オンライン上で写真の編集ができる。写真のデータは大容量になるが、マイクロソフトのクラウド上に保存することでコストが削減できた。また、ユーザ認証にはLive IDを用いている。
米マイクロソフト(Microsoft)のWindows Live Platform Senior DirectorであるJohn Richards氏は、Azure Service Platformのアプリケーションの1つであるLiveプラットフォームをBBC.comの「iPlayer」を例に紹介した。iPlayerは、テレビ放送の24時間後から動画がダウンロードできるVODサービス。特徴的なのは、プレイリストをほかのユーザと共有したり、PC以外のデバイスでも動画が楽しめたりすること。ログインやユーザ間の連携はLive IDやコンタクトリストを採用。デバイス間の連携は、Live Meshで実現している。
米マイクロソフトのDPE Senior ArchitectのEugenio Pace氏は、Azure Service Platformでは、相互運用性への考慮やさまざまなプログラム言語が使えるため、開発がしやすいとアピールした。
たとえばAzure Service Platformには「.NET Services」が含まれており、この中にはユーザの認証と権限を管理する「Access Control」がある。認証にはLive IDのほかに、ActiveDirectもサポートしているため、既存の社内システムとの相互運用が容易だ。.NET Servicesには、そのほかに、汎用のアプリケーションバス「Service Bus」も含んでいる。複数のドメインやプロトコルが異なっていてもシステムが接続できるサービスで「AS400(IBMのオフコン)ともつながる」というほどだ。
Azure Service Platformの開発には、基本的にはVisual Studioを使用するため、「新しい開発言語を覚える必要がない」とする。C#やVisual Basicなどのほかに、JavaやRubyなどの言語が利用できるという利点がある。