「日本のSaaSビジネスは黎明期を過ぎて発展の時期に入った」 KDDI ソリューション事業統括本部 戦略企画部 新戦略グループリーダーの大貫祐嗣氏は、SaaSの広がりを見てそう感想をもらした。11月下旬、東京都内でSaaSベンダーが集まるイベントが開催されたが、会場のカンファレンスも長蛇の列ができていた。どのイベントでもSaaSは注目を集めているが、なかでも脚光を浴びているのが携帯とSaaSの関係だ。上記のイベントで「KDDIの提供するBusiness Port Support Programについて」と題した講演を行った大貫氏は、“Mobile SaaS”のプラットフォームと、サポートプラグラムについて説明した。
●中小企業をターゲットに
法人市場における新しいSaaS型ソリューションとしてKDDIとマイクロソフトが発表したのが「Business Port」だ。第1弾として、Microsoft Office Outlook 2007のメールやスケジュール機能などを統合し、PCやau携帯の双方から使うことのできるビジネスコミュニケーションウエア「KDDI Business Outlook」が、2008年3月から月額980円/1ID (税込み)で提供される。
Mobile SaaS市場の盛り上がりは、現在の法人市場での携帯端末の利用シーンを見れば予測可能だ。大貫氏はMobile SaaSでの価値について次のように話す。「従来、携帯はデータの格納庫のイメージで使われていた。ところが大手のモバイルを使った事例を追いかけていくと、いわゆる“下り”の流れではなくて“上り”の流れがでてきている。つまり、かならず身に着けているものなので連絡がとれ、レポーティングの機能が優れている。携帯端末を情報の入力源に使い、情報を上げていくという逆の流れがでてきているのだ」。