山形富士通、富士通研究所、財団法人神奈川科学技術アカデミー重点研究室益田グループ(グループリーダー:益田秀樹 首都大学東京 教授)は共同で8月9日に、アルミナナノホールに充填した磁性体1個1個に情報を記録・再生することに世界で初めて成功したことを発表した。 同研究グループは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の革新技術開発研究事業として研究を受託しており、次世代のハードディスク(HDD)技術であるパターンドメディア実現を目指している。今回開発された技術は、テラビット級の垂直磁気記録媒体の基礎研究の成果といえるもので、現行製品の5倍に相当する1平方インチあたり1テラビットの記録密度を持つHDDの実現に大きく前進した。 研究グループでは、これまでナノメートルサイズの磁性体を充填したランダム配列のナノホールをディスク上に形成し、磁気ヘッドを浮上させて記録・再生を実証してきた。しかし、さらなる高密度化を実現するパターンドメディアの形成には磁性体を規則的に配列させる必要があり、今回ナノインプリントリソグラフィ法を用いて、アルミニウムの表面にナノメートルサイズの凹みパターンを形成し、規則配列ナノホールをディスク上の広範囲に一括形成する技術を開発。さらに、高速回転させたディスクに磁気ヘッドを浮上させ、世界で初めて記録・再生の測定を実現した。 研究グループは、すでに2007年1月10日に25nmピッチの1次元配列のナノホールの形成を実現しており、今後は、ナノホールを25nm間隔で円周方向に規則配列した記録媒体を作成し、1平方インチあたり1テラビットの記録・再生を目指す基礎研究を行っていくとのこと。