クアルコムはUMB(Ultra Mobile Broadband)のデモをブース内で実施していた。UMBは従来のCDMAではなく、FLASH-OFDMをベースとした技術で、下り最大288Mbps、上り最大75Mbpsと言われる(デモでは下り40Mbps、上り10Mbpsとなっていた)。今年4月にエアインターフェースの標準化が完了したところだ。 米クアルコムの本社があるカリフォルニア州サンディエゴではプロトタイプを使ったフィールドテストが行われており、6月にもデモが公開されている。今回のデモは、それをブースで再現したものと言える。20MHzのTDD方式で基地局には4アンテナ、移動局が2アンテナのMIMOという構成。 このなかで、HDTV、Google earthを動作させてのHTTP、FTP、ビデオ会議映像など複数のアプリケーション(データ)を同時に通信し、パフォーマンスの様子をモニターに映し出していた。試しに通信にジャミングを加えると、FTPのパフォーマンスは落ちるが、HDTVやビデオ会議のパフォーマンスは落ちないのが確認できた。クアルコム ジャパン標準化担当部長の石田和人氏によると、「(同システム)はQoSをふんだんに盛り込んでいるシステムだ。広帯域のシステムを使うとなると、当然そのなかにいろんなタイプのデータを扱う能力が必要になってくる。QoSの条件に合わせて時間軸(遅延)、帯域の条件を非常にうまくコントロールする能力を持ち合わせている」とのこと。また、ファイル転送を高速で行う、情報家電系のデータを扱うなのどの条件にはUMBが必要になってくるのではないかと付け加えた。ちなみに、計測によると遅延は10〜15ミリ秒となっていた。 また、「5MHzくらいまではCDMAのほうがつくり安い。Rev,Bでは1.25MHzのキャリアを多重して20MHzの帯域で運用することが可能だが、チップの複雑さとかコストとかを考えた場合、10MHz、20MHzになるとだんだんOFDMのほうがつくりやすくなる」とコメントした。